従来のわが国の社会科教育は、社会的対立を克服しうる公共原理への到達可能性を前提としてきたと思われる。しかし多くの社会的対立は、そもそも異質な公共原理の間の対立であると考えられる。そのような紛争の解決のために求められるのは、相互の異質性を前提とした合意形成の模索である「交渉」の能力であると考えられる。本研究は、ゲームを通じて学習者に交渉能力を育成しようとする試みである。 開発したゲームの一つとして、占領下日本と米国との独立交渉をテーマとした「インディペンデンス・デイ」がある。本ゲームの大学での実践の結果、多くの被験者は、交渉の過程如何によって「戦後日本」の形が変化することに驚きと興味を示した。
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