研究課題/領域番号 |
23531193
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
藤井 康之 奈良女子大学, 文学部, 准教授 (40436449)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 小学校音楽の歴史 / 音楽教師 / 国民学校期 |
研究概要 |
これまでに、戦前期に発行された音楽教育雑誌『音楽教育研究』『音楽教育』等、および教育雑誌『学習研究』『帝国教育』等を中心に、井上武士(東京女子高等師範学校附属小学校)、幾尾純(奈良女子高等師範学校附属小学校)、小出浩平(学習院)の論文を調査し収集してきた。同時に、戦前期の小学校音楽の教育事情を把握するために、北村久雄などの当該期の音楽教師によって書かれた論文も収集するとともに、井上、幾尾、小出に関する先行研究、大正期から国民学校期にかけての小学校音楽がどのように捉えられ意味づけられているのか、当該期を扱った先行研究も、可能な限り入手してきた。 現在、彼らと同時代に活躍し、指導的役割をはたした音楽教師である北村久雄(神戸市東須磨尋常小学校)の音楽教育思想と実践の歴史的研究、および国民学校期における器楽教育の実態史研究に取り組んでいる。これら二つの研究は、(1)北村の音楽教育論を一つの視座として得ることによって、大正期から国民学校期における井上、幾尾、小出の音楽教育思想と実践の形成プロセスの同質性と差異性を明確に浮かび上がらせることができること、(2)国民学校期の器楽教育の実態を明らかにすることにより、当該期の小学校音楽に関する制度や、小学校音楽の教育事情を把握できることなど、本研究を遂行するにあたり、重要な意味を持つ。すなわち、これら二つの研究は、これまでに収集してきた井上、幾尾、小出の文献を読み解いていくために不可欠な基本的作業となる。この二つの研究に取り組みながら、現在、幾尾の音楽教育論の特質を明らかにする研究に着手しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
戦前期における井上武士、幾尾純、小出浩平の文献については、目録化・索引化された音楽教育雑誌および教育雑誌を中心として、資料調査は順調に進展しており、現時点でほとんど収集できている。なお、当該期における三人の文献収集は万遍なく行えているものの、彼らは目録化・索引化されていない雑誌媒体に論文を掲載しているため、これらの資料調査については現在も進行中である。 また、幾尾に関しては主要な文献を収集できているため、彼の音楽教育思想と実践の形成プロセスを明らかにする研究に着手している。井上、小出に関しては、収集した資料の読み込みを進めている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)23年度に引き続き、井上武士、幾尾純、小出浩平の未入手の論文および著書を調査・収集する。同時に、戦前期の音楽教育関係文献も収集する。なお、調査予定の図書館は、国立音楽大学附属図書館、東京藝術大学附属図書館、東京大学教育学部図書室、国立国会図書館等である。(2)資料調査と収集に加え、幾尾に指導を受けた児童へのインタビュー調査を、個人情報の保護に十分留意しながら、奈良女子大学附属小学校に依頼し実行する。可能であれば、井上、小出の指導を受けた児童へのインタビュー調査も、順次着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度は、戦前期における井上武士、幾尾純、小出浩平の目録化・索引化された音楽教育雑誌・教育雑誌に掲載された文献調査と収集を中心に行ってきたこと、研究の精度を高めるために、目録化・索引化されていない雑誌媒体掲載の文献調査に時間をかけてきたことから、三人の著書をすべて収集しきれていない状況にあり、未使用額が生じた。 24年度は下記のとおり、まず井上、幾尾、小出に関する論文収集に加え、音楽教育関係資料収集も継続的に行うとともに、彼らの著書の収集も含めて研究費を使用する。さらに、インタビュー調査にも研究費を使用する予定である。(1)井上武士、幾尾純、小出浩平関係資料および音楽教育関係資料の調査と収集(2)幾尾に指導を受けた児童へのインタビュー調査の依頼と実行。可能であれば、井上、小出の指導を受けた児童へのインタビュー調査も、順次着手していく。
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