研究課題/領域番号 |
23531193
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
藤井 康之 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (40436449)
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キーワード | 小学校音楽の歴史 / 音楽教師 / 戦前期 |
研究概要 |
平成23年度~24年度に引き続き、25年度も戦前期の音楽教育雑誌や、本研究に関わる初等教育雑誌を中心に、井上武士、小出浩平、幾尾純に関する文献を収集した。さらには、本研究に関わる戦前期の音楽教育事情が書かれた当該期の文献も同時に収集した。収集した文献については分析も同時に進めている。 これまでの分析から、井上、小出、幾尾は、いずれも戦前期の小学校音楽の基盤形成と戦後にいたる発展に大きく尽力した音楽教師であり、音楽教育思想および実践の両面から、当時の小学校音楽教師たちに対して指導的役割を果たしてきたことが確認できた。しかしながら、先行研究においては、井上、幾尾の研究は僅少ながら行われているものの、いずれも一面的な音楽教育思想と実践しか明らかにされておらず、小出については、ほとんど研究がなされていない状況にある。本研究の意義は、現在の小学校音楽のあり方を形成してきた代表的な音楽教師として3人の音楽教育思想と実践を照射し、あらためて音楽教育史研究に位置づけなおすことにある。今年度は、さらに広範にわたる彼らの資料収集を徹底し、その成果をまとめることが急務となる。 25年度は、先行研究の検討に加え、昭和初期から国民学校期にかけての器楽教育の実態研究を通して、当該期の音楽教育のあり方を明らかにすることによって、井上、小出、幾尾の音楽教育思想と実践を明らかにする基盤研究を行った。なお、器楽教育実態研究に関しては、研究会等において、その成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度~24年度と同様に、戦前期における井上、小出、幾尾の文献を中心に、資料調査・収集することによって、彼らの音楽教育思想と実践の全体像がより鮮明になってきた。一方で、彼らは目録化・索引化されていない雑誌等に論文を多数掲載しているため、これらの調査の徹底を、今年度も引き続き行う必要がある。また、25年度中に、幾尾の指導を受けた当時の児童と連絡を取ることができたため、有益なデータが得られそうである。 上記に加え、本研究が時代対象とする先行研究の収集と分析も同時に進めており、当該期における井上、小出、幾尾の音楽教育思想と実践のそれぞれの特性も明らかにしている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、井上、小出、幾尾の未入手の文献、戦前期の音楽教育に関する文献、本研究に関わる先行研究を調査・収集する。また、資料調査に加え、可能であれば、彼らの指導を受けた当時の児童たちへのアンケート・インタビューを行う。具体的には、幾尾に指導を受けた当時の児童たちへのインタビューを行う予定である。 研究成果を学会・研究会等で発表および論文としてまとめていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に、本研究が対象としている3人の音楽教師の資料収集を徹底して行う予定であったが、目録化・索引化されていない雑誌媒体に掲載されている文献も多く、その調査に多くの時間を要したことと、彼らの教え子へのコンタクトが一部しか取れず、アンケート・インタビューが行えなかったことから計画を変更し、次年度に上記の作業を行うこととなったため、未使用額が生じた。 次年度に、資料収集および教え子へのアンケート・インタビューを行うこととし、未使用額はその経費に充てることにしたい。
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