研究課題/領域番号 |
23531194
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
嶋田 由美 学習院大学, 文学部, 教授 (60249406)
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研究分担者 |
小川 容子 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20283963)
水戸 博道 明治学院大学, 心理学部, 教授 (60219681)
村尾 忠廣 帝塚山大学, 現代生活学部, 教授 (40024046)
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キーワード | 「ぴょんこ」リズム / リズム変容 / 日本語歌詞 / 等拍 |
研究概要 |
本研究課題の初年次には歴史的調査研究の結果から、等拍で作曲された日本語歌詞の曲の中にさまざまな長短パターンによる「ぴょんこ」リズムで歌われるものがあり、作曲家や音楽指導者もその傾向に気づいていたことが明らかにされた。同時に、実験的調査研究班が行った記憶・再生実験からは等拍リズムで聴取したにもかかわらず再生実験時に「ぴょんこ」リズムで歌唱される傾向が認められた。そしてこの実験を経て、リズム変容には日本語歌詞との関連性が強いことが確認された。2年次にはこの研究成果を踏まえ、促音、撥音、拗音といった日本語の特質が「ぴょんこ」リズムへの変容の要因の一つであるという仮説をたて、促音、撥音、拗音を含む歌詞を用いた旋律創作による実験研究を行い、促音などを多く含む歌詞による旋律創作を行った被験者グループの方が、それらを含まない歌詞による旋律を創作したグループよりも創作した旋律が「ぴょんこ」リズムになる傾向があるという結果を得た。しかし、これらの実験の過程で、新たに歌詞のイメージという要因も仮説に加える必要性が指摘された。そこで最終年度にあたる平成25年度の研究では、旋律、歌詞のモーラ処理、および歌詞のイメージという3要因が、記憶した旋律の変容にどのように作用するのかという実験を行った。即ち、促音、濁音、撥音、拗音を含む、或いは含まない歌詞を、等拍と「ぴょんこ」リズムにより、合計6種類作成し、その中から3種類の旋律の組み合わせを3パターン作り、3グループの被験者に記憶再生実験を行った。その結果、促音を含む等拍の旋律が「ぴょんこ」リズムに、反対にこれらの特質を含まない歌詞の場合には等拍になりやすいという結果が得られた。3年間の研究推進を経て、日本語歌詞の特質が「ぴょんこ」リズムの生成の大きな要因であることが立証されたと考える。
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