研究課題/領域番号 |
23531196
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
矢部 敏昭 鳥取大学, 地域学部, 教授 (50230298)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 問題解決の学習過程 / 探究的学び / 共同的学び / 数学的態度 / 授業の構成原理 / 授業の指導原理 |
研究概要 |
本研究の目的は、「学習者の知識の発展と統合をその指導目的として、日々の授業を探究的学びと共同的学びを展開することにより、新たな知識の創造にふさわしい問題解決の学習過程を導出するとともに、授業の構成原理と指導原理を明らかにする」ことである。 本年度は、第一にVia Problem-Solvingの視点から指導理論を検討し、問題解決の5つの学習過程(問題の構成、解決の計画開発および遂行、解決と手続きの共有、解決と手続きの議論、及び活用と評価)を構成した。その第二は、実践協力校の学習者の実態及び指導者の実態を踏まえ、探究的学びと共同的学びに関する意義とその必要性を問い、各学校の実態に応じた学習過程の修正を試みたものである。また、共同的学びに関してはアンケート調査を実施し、現在その集計と分析を行っているところである。 その第三は、実践協力校との授業研究会および協議に関しては、予定通り、広島県廿日市市の中学校、高知県香美市・安芸市・芸西村および室戸市の各小中学校、京都市、及び鳥取県内の数校と授業改善に取り組むとともに、授業録画を行ったものである。特に、継続指導3年目であった広島県廿日市市の中学校は、同市内において最高得点を取るまでに学ぶ力の向上を果たし、県において表彰されるまでに至った。 その第四は、本研究の1年次として上述した実践協力校の授業改善の経過を、事実に基づき振り返るとともに、各実践校の組織的な特質と授業改善の成果をまとめ、2年次に向けてより高次の授業の質を高める試行の準備を図っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
問題解決の指導理論及び学習過程の理論的検討に関しては、実績の概要ですでに述べた通り5つの学習過程を構築し、実践協力校との授業研究会を通して各学校に応じて試行するまでに至っている。 実践協力校との実践研究会および授業研究会に関しては、問題解決の学習過程について共通理解を図り、授業改善に努めている。その成果としては、教師の指導の改善に関しては5つ目の学習過程である「活用と評価」の過程まで日々の授業において展開されるまでに至っており、学習者の学習活動は「質」の面において高まりつつあり、「量」の面においては従来の1.5倍から2倍の活動量になりつつある。また、実践研究会および授業研究会に際しては、授業の録画を予定通り進めており、現在までに約15の授業が録画するに至っている。
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今後の研究の推進方策 |
問題解決の指導理論に関しては、今後教師の力量形成に視点を当て、力量形成過程としての到達目標を設定して具体的な指導方法の水準を定めていくことを考える。また、その際に問題解決の学習過程との関連を図りつつ、成長し続ける教師の力量に応じた指導方法を明確にしていくものである。また、国際会議や国際学会での報告書の作成を進め、問題解決の指導理論と学習過程論に関して新たな実践事例を加え、An Agenda for Action;Recomendations for School Mathematics 2012sを作成していくものである。 実践協力校との実践研究会および授業研究会に関しては、学校という組織的取り組みを推進するために、学び合う教師集団の確立を目指した授業改善を試みるとともに、学習者の学びの改善と授業の質の向上を推進するものである。
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次年度の研究費の使用計画 |
実践協力校の授業研究会においては、授業の録画を進めるとともに、今後の研究の推進方策で述べた通り、An Agenda for Action;Recomedations for School Mathematics 2012sの策定のため、国際会議やアメリカ・インディアナ大学において研究指導と助言をいただく旅費を計画するものである。そのため、授業録画編集に関わる研究費を計画するものである。合わせて、全国の実践協力校の授業研究会および実践研究会への指導助言および校内研修会参加の旅費に充てるものである。 なお、繰り越しが生じた理由は当初の計画に比べて、実践協力校との協議および授業研究会、校内研修会の参加が若干少なかったためと費用が少なく済んだことに依るものである。
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