研究課題/領域番号 |
23531196
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
矢部 敏昭 鳥取大学, 地域学部, 教授 (50230298)
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キーワード | 問題解決の学習過程 / 探究的学び / 協同的学び / 共同実践のための10の観点 |
研究概要 |
本研究の目的は、「学習者の知識の発展と統合をその指導目的として、探究的学びと協同的学びを展開し、新たな知識の創造にふさわしい問題解決の学習過程を導出するとともに、授業の構成原理と指導原理を明らかにする」ことであった。昨年度、Via Problem-Solvingの視点から導出した5つの学習過程に関して、本年度は全国25か所の実践協力校(内訳・中学校3校、小学校22校)で実施することができた。地域別状況は、高知県内7校、広島県内1校、京都市内3校、鳥取県内12校、福岡県及び愛知県各1校であった。 探究的学びと協同的学びを取り入れた新たな問題解決の学習を実施するにあたっては、以下に示す「10の観点」を5つの学習過程に位置づけたものである。共同実践のための10の観点は、1)具体的な支援を施すために、子供の反応を、授業前にあらかじめ予想し準備する。2)数量の関係を把握するために、問題状況や場面を検討して、子供と一緒に作り上げる。3)数学的表現力を身に着けるために、子供たちの説明の場を確保し、意味を共有する。4)豊かな数学的活動を展開するために、反応に応じた教師の支援を、子どもに施して学びを促す。5)子どもと授業を作り上げるために数学的な発問を施して、わかりやすい授業にする。6)数学的活動の量を増すために、授業のテンポを速め、活動を活発にする。7)深い理解を図るために、必要に応じて協同的学びを展開し、集団で学び合う。8)確かな学びのために、共有した見方・考え方や表現処理を、他の場面等に用いて評価する。9)学びに値する価値を明確にするために、着目した子どもの言葉をキーワードにして、学習を振り返る。10)自立した学びのために、考えるすべや数学的な態度を、記述して次時に生かす。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全国25か所の実践協力校において、新しい問題解決の学習過程を日々の授業実践に位置づけるとともに、その学習過程を協議の柱として検討できたことがその1つの理由である。また、本年度は特に、4つ目の過程「解決に用いた手続きと結果の議論」と5つ目の過程「活用と評価」において、実際の学習者の数学的活動を根拠にその必要性を指摘できたことが2つ目の理由である。
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今後の研究の推進方策 |
3年次のまとめに向けて、2年間の実践資料および協議会記録に基づいて問題解決の各学習過程の数学的位置づけと教育的意味を分析・考察するとともに、その論理構成のあり方や理論づけに関して指導助言や研究討議を行うものである。 その最終的報告書は、An Ajenda for Action ; Recomendations for School Mathematics 2013sを作成していくものである。 さらに、全国の実践協力校の授業研究録画の編集を行い、特徴的な学校集団や学習集団の規模に応じた視覚教材を作成するものである。
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次年度の研究費の使用計画 |
主な研究費は、実践協力校の授業研究録画の編集費と、An Agenda for Action ; Recomendation for School Mathematics 2013s の和文と英文による報告書の作成に充てるとともに、引き続き、全国の実践協力校の授業研究を行うための旅費に使用する予定である。 さらに可能であるならば、数学教育における問題解決の発祥の地であるアメリカ合衆国の現在の推進者との協議及び指導助言を得る旅費に使用する予定である。
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