本研究の第一の目的は、世界的に注目されている問題解決の授業研究に関して全国の実践協力校と授業研究を展開し、これまでに提出してきた問題解決の5つの学習過程を実証的に検討することであった。1)「問題の構成」の過程は、学習者に教材の必然性と未知への喚起を起こし、2)「解決の見通しと遂行」の過程は、解決への意欲、推測の構成と根拠の探究を行う過程であること。3)「解決と結果の共有」の過程は、論理の検討と根拠の明確化を学習者にもたらし、4)「解決と結果の議論」の過程は、学びに値する数学的価値づけとよさの鑑賞に機能し、5)「活用と評価」の過程は、学習者の学びの改善と教師の指導の改善を果たす役割として機能するものであることが、学習者の思考の様相、算数・数学的活動の質的検討、及び数値で表される学力検査等によりとらえられること。 本研究の第二の目的は、問題解決の授業構成における探究的活動を支える「特殊の背後にある一般を志向し、かつ、一般の中にある特殊を求める授業展開の位置づけであった。全国の実践協力校との授業研究会や実践検討会は、平成23年度全国24校、24年度全国23校、及び25年度全国25校において実施し、特に、第4,5の学習過程が学習者の学習内容の理解を促進するとともに、授業の質を高める新たな過程として位置づけられることを指摘し得ること。 本研究の第三の目的は、実践協力校の授業改善と学び続ける教師の養成であった。学習過程のの構築に関しては、実践協力校の教師の力量形成に機能し、特に教師の支援の重要性を指摘するとともに、指導観・授業観の改善と学習の可能性に関する児童・生徒観の質的転換が図られたことである。
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