知的基盤社会化、グローバル化に対応して、言語活動の充実の充実が叫ばれ、算数科では言葉、数、式、記号を用いた数学的表現力が重視されている。しかしながら、算数科の主要な「数と計算」「図形」などの概念や原理は抽象的で、初めから言葉、数、式、記号で説明し、伝え合うことを児童に求めても難しい現状がある。そこで、本研究では、数図ブロックなどの具体物を使ったり、テープ図や数直線を使ったりするなどして、非言語で説明し、伝え合う算数的活動の開発研究を行った。 1年次は、演算の意味や計算の仕方を数図ブロックなど具体物を使って、説明する授業実践を通して、非言語による説明力を育成する算数的活動を実証的に探究しした。2年次は、非言語による説明を言葉、数、式とつないでいけばよいかを、三角形の内角の和が180になることを帰納的に考えたり、四角形の内角の和が360になることを演繹的になることを図を使って操作しながら、言語化、記号化して説明させ、非言語による説明と言語による説明の融合のプロセスを検討した。最終年度の3年次は、非言語による数学的表現と言語による数学的表現力が乖離している「数と計算」に焦点を当て、第2学年のD(1)加法と減法の相互の関係を、テープ図を操作して3段に問題場面を非言語で表し、その図を逆向きにテープ図をとらえさせて説明させると、加法と減法の相互の関係が逆算関係にあることをとらえさせる実験授業を行った。非言語による説明力を育成する算数的活動では、図を3段に構成させる算数的活動、構成した図を逆向きにみる算数的活動にすることに有効性が認められた。研究を通して、具体物を使った操作的な説明活動、伝え合い活動は、低学年に限らず、高学年でも有効であることを検証できた。さらに、操作的な活動に伴ってつぶやくモノローグが言語化に有効であることが明らかになった。
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