研究課題/領域番号 |
23531203
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
伊藤 陽介 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (90249855)
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キーワード | 地球観測 / 技術教育 / 人工衛星 / 宇宙 |
研究概要 |
砂漠化や森林破壊などの広域的な環境変化、火山活動や地震による地殻変動などの地球環境の状態は、宇宙からの全球的な観測によりその全容が明らかにされつつある。本研究課題では、地球観測技術の仕組みを理解しつつ地球環境問題を科学技術的な側面から考察できる人材の育成をねらいとし、中学生以上を対象として教育実践可能な「宇宙からの地球観測技術教育プログラム」の構築と検証・評価を目的とする。 平成24年度は、これまで研究開発してきた人工衛星による地球観測をリアルタイムで体感できる学習支援機器である電波観測教材を用いた「宇宙からの地球観測技術教育プログラム」の授業実践を計画し、研究用合成開口レーダ(SAR)を搭載した人工衛星である欧州宇宙機関(ESA)の人工衛星ENVISATを利用する予定であった。ところが,ENVISATは平成24年4月に運用を終了し、日本またはESAの研究用SARを搭載した人工衛星がすべて利用できなくなった。そのため、平成24年度は擬似的にSAR信号を生成する電子回路を開発し、電波観測教材を制御するためのソフトウェアを用いてレーダ波を識別できることを確認するとともに、教育的な配慮に基づき地球観測技術を視覚的かつ直感的に分かりやすく実習できるようにソフトウェアを改良した。さらに、教材となるレーダ波を受信するためのホーン型アンテナを中学生が製作できるように設計し、LまたはCバンドの電波を送受信可能な無線機を用いて実験できる環境を整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
授業実践時に用いる予定であった人工衛星の運用が終了し、その代替え手段として擬似SAR信号発生器と無線機を用いることとしたため。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた研究用SARを搭載した人工衛星の利用ができなくなったため「宇宙からの地球観測技術教育プログラム」を模擬授業として実践し、その有用性と課題を明らかにする。さらに、平成25年度中に宇宙航空研究開発機構(JAXA)によって運用開始される予定の陸域観測技術衛星2号(ALOS-2)に搭載されるSARを教育利用する場合に必要となる学習支援機器と教育用ソフトウェア環境の改良点も示す。「宇宙からの地球観測技術教育プログラム」を学校教員に対して啓発するために、本研究で得られた成果をまとめ学術雑誌に論文投稿するとともに、公開可能な教材・教具をインターネットなどを通して開示する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費のうち物品費は人工衛星による地球観測をリアルタイムで体感できる学習支援機器の実験に基づく改良とアンテナの設計製作用に当てる。物品費を除く研究費は、国内外学会などにおける研究成果の公表のための旅費、資料整理と研究補助のための謝金、教育用ソフトウェアの開発費に当てる。
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