砂漠化や森林破壊などの広域的な環境変化、火山活動や地震による地殻変動などの地球環境の状態は、宇宙からの全球的な観測によりその全容が明らかにされつつある。本研究課題では、地球観測技術の仕組みを理解しつつ地球環境問題を科学技術的な側面から考察できる人材の育成をねらいとし、中学生以上を対象として教育実践可能な「宇宙からの地球観測技術教育プログラム」の構築と検証・評価を目的とする。 平成25年度は、当初教育利用を計画していた研究用合成開口レーダを搭載した人工衛星が運用体制とならず「宇宙からの地球観測技術教育プログラム」を教育実践することができなかったが、立案した本プログラムの学習指導内容を模擬授業として実施できるようにした。研究用合成開口レーダを搭載する人工衛星として平成26年4月にヨーロッパ宇宙機関によって打ち上げ予定のSentinel-1(Cバンド)、及び、平成26年5月に宇宙航空研究開発機構によって打ち上げ予定の陸域観測技術衛星2号(ALOS-2、Lバンド)を対象とする学習支援機器と教育用ソフトウェアを開発した。疑似合成開口レーダ波発生装置を用いることによって、開発した学習支援機器による合成開口レーダの電波の識別の可能性が示唆された。さらに、教材となる合成開口レーダの電波を受信するためのホーン型アンテナを中学生が製作できるように設計・試作し、LまたはCバンドの電波を送受信可能な無線機による実験設備を整備した。 研究用合成開口レーダを搭載した人工衛星の利用ができなくなったため「宇宙からの地球観測技術教育プログラム」の教育実践に基づく有用性と課題を明らかにすることができなかった。Sentinel-1やALOS-2等の運用体制が整備された後、本プログラムを教育実践し、その有用性と課題を明らかにするとともに、学校教員等に対して啓発する予定である。
|