日本の詩歌のあり方と西洋(北米)のそれとでは、鑑賞における読者の果たす役割に大きな違いがあることが指摘されている。また、西洋(北米)のハイク教育は、形式を重視した授業実践が多いことも指摘されている。そういった昨年、一昨年までの研究で収集したハイク及びハイク教育関連の文献の分析を踏まえながら、我が国と北米の俳句・ハイクによる交流を実りあるものとするための、教師を対象としたハイクワークショップをカナダにおいて実施した。それは、教師自らがハイクを体験することによって、その魅力はどこにあるのか、その教材価値はどのようなものなのかを探るものである。ハイクワークワークショップに対するアンケート等を分析した結果、そのワークショップの有用性が明らかになった。さらに、ハイクの授業を効果的に実践していくための具体的な示唆も得ることができた。今後の課題としては、ハイクの体験で生じた疑問や問題を共有する場や、ハイクの教材価値を議論する場をいかに保障するかということが挙げられる。これらの考察の一部は、第125回全国大学国語教育学会(広島大会)にて「北米におけるハイクの教材性の検討―国際交流を視野に入れて―」という題目のもとで発表した。また、Haiku North America conference 2013に参加し、「Kukai in Matsuyama―How people enjoy it ―」という題目で情報発信を行うとともに、北米のハイク界の現状の把握に努めた。
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