研究課題/領域番号 |
23531209
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
藤田 昌子 愛媛大学, 教育学部, 講師 (40413611)
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研究分担者 |
中山 節子 千葉大学, 教育学部, 准教授 (50396264)
大竹 美登利 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40073564)
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キーワード | 格差社会 / 自立支援 / 家庭科 / カリキュラム / 高等学校 |
研究概要 |
1.昨年度に引き続き,質問紙調査や事例研究により明らかになった高校生の生活と労働の実態と課題をもとに,自分の将来に展望をもつことが難しく,社会的,経済的,精神的自立が困難な高校生に対し,自立した生活を営む力を育む家庭科カリキュラムを検討した。高等学校の家庭科教育が置かれた現状に対応し,最低限の内容を盛り込んだ「4時間のカリキュラム(昨年度作成)」の改善に加え,5つの包括的な内容(①高校生が自分の生活をイメージすること,②セーフティネットの重要性,③労働と生活の保障,④生活資源の獲得,⑤修学と進学)を盛り込んだカリキュラムの内容を発展させ,教材集『安心して生きる・働く・学ぶ -高校家庭科からの発信-』を出版した。本書は,高等学校家庭科に限らず,社会や総合的な学習の時間,進路指導,また大学でのキャリア教育も念頭に置いており,実際に大学・短大等でも既に活用されている。 2.「4時間のカリキュラム」で使用したワークシートに記述された生徒の感想,考察等の記述内容,ならびに教員の授業の振り返りの記録を分析し,本学習における生徒の変容と学習の意義を考察した。本学習では,シミュレーションやゲームなどの体験的な活動を用いたことで,生徒が自分の生活をイメージし,格差は雇用形態や社会保障制度の違いによって生じることを実感を伴って理解することができ,効果的であったといえる。また,コミックの『ホームレス中学生』を教材化することで,難しいセーフティネットを身近に感じることができ,貧困状態に陥らないため,あるいは陥った場合に必要な生活資源について考えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カリキュラムの開発も順調に進んでおり,一部のカリキュラムは教育効果も把握済みである。
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今後の研究の推進方策 |
①勉強会の開催等により,専門的知識や最新の動向など情報を得る。 ②開発したカリキュラムの教育効果を測定する。 ③研究成果の発表し,意見交換を行う(日本家庭科教育学会等)
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次年度の研究費の使用計画 |
・最新の関連文献・資料等の収集 ・研究分担者,研究協力者らとの定期的な会議を行うための旅費,研究成果を学会等で発表するための旅費 ・収集した文献や資料の整理,授業分析のためのデータ入力,インタビューのテープ起こしなどに対する謝金 ・専門的知識や最新の動向などの情報を得るための勉強会の講師料 ・収集した資料のコピー費,資料の送付などの通信費 など
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