研究課題/領域番号 |
23531213
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
有働 玲子 聖徳大学, 児童学部, 教授 (50232880)
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キーワード | 絵本 / 国語教育 / 挿絵 / 読解指導 / 読者 / 読み聞かせ |
研究概要 |
小学校の国語教材において、挿絵が絵本となったものが用いられている教材を考察している。23年度に、①レオ・レオニ『スイミー』光村出版・小学校2年生、学校図書・小学校2年生を論文化した。そのことを受けて24年度は他の国語教材である②小林豊『世界一美しい僕の村』東京書籍・小学校4年生を考察することとした。 本教材の考察には作家インタビューを予定していたが、作家が海外出張のため次年度に予定を変更している。しかしながら、それ以外の原点絵本のとの比較、教科書本文との比較、挿絵の配分状況をまとめることができた。さらに教科書指導書の街頭部分、とりわけ内容の挿絵との関係を説く指導内容要約に着手している状況である。 成果の一部は、平成24年8月25日・日本教育情報学会第28回年会において「絵本を用いた平和学習 ―小学校における指導を考える― 」齊藤由佳(松戸市立高木第二小学校),有働玲子(聖徳大学)という形式で共同発表を行った。 その結果として読解との関係性やデータベースの課題などの示唆を得た。本研究の当初の目標の沿って報告書をまとめるための留意点として有意義なものであった。25年度は更に残された作家インタビューを行い、他教材と絵本との関係性を考察したい。 今後は解題の形として整えていきながら、各絵柄の読み解きとして色彩・タッチ・象徴・構図・視点等の内容を考慮してそれぞれの特異性を分析していきたい。その結果として国語教育・絵本研究の位置づけを提案する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小学校の教材において、絵本の挿絵が用いられているかどうかということも含めて点検を行い、用いられている場合は教科書教材の全ての複写を行っている。さらに、その教材に該当する教科書の指導書の複写をほぼ完了した状況である。当初の予想を超えて膨大な量となっており、作業は困難を極めている。また、予定していた作家インタビューが作家の海外取材のために不可能であった。 今後は当初の教材の種類を厳選し、抽出した事例研究を行うようにしていく。全体計画のほぼ中盤に関わってきている。
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今後の研究の推進方策 |
作家インタビュー、教科書指導書の要約をすすめて考察を行う。 具体的には小林豊氏とのインタビューである。さらに同指導書の全体の要約を完成することである。その結果『世界一美しいぼくの村』に関する全体の考察を完成させる必要がある。しかしながら、現在までの該当する学習指導書の複写を完成しているので物理的な時間の確保が肝要である。 今後は解題の形として整えていきながら、各絵柄の読み解きとして色彩・タッチ・象徴・構図・視点等の内容を考慮してそれぞれの特異性を分析していきたい。その結果として国語教育・絵本研究の位置づけを提案する。
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次年度の研究費の使用計画 |
絵本研究に関わる巨視的な視点からの各種研究会及び学会等への出張を多く予定している。絵本そのものが児童文化と密接な関係にあるからである。そういった絵本の独自の立場を踏まえて、微視的な国語教科書教材の位置を措定する必要が生じてきていることがわかってきたからである。予算の使用も考察の視座の構築を想定している。 その結果、多くの教科書教材を扱うというよりも、厳選された教科書教材を文化的社会的そして教育的な側面から位置づけ、書誌的考察の中身を有効な考察としていく。広く浅くよりも狭く深くということを意味する。 さらに絵本作家にインタビューを行い、教科書教材に自らの絵本が用いられていることの問題や課題を明らかにしていくことを行いたい。
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