本研究は、小学校の国語教材のなかで、絵本を原典としている国語教材についてその指導の可能性を示唆する。 まず、絵本を原典とするものについては、出版社の協力を得て一覧表化することができた。なお、そういった知見を得るために、次のメンバーとの話し合いがあったことを付け加えておく。幼稚園から茨城県石岡市国分寺幼稚園教諭駒井さゆり氏、特別支援教育から東京都墨東特別支援学校教諭生井恭子氏、小学校から元群馬県立公立小学校教諭品川孝子氏、書店の立場から岩崎書店の大塚奈緒氏、高校から東京学芸大学非常勤講師高見京子氏、以上の5人である。その結果、絵本を原典とするものは中学校教材にまでその範囲が広がる事が分かった。 また、その指導の方向の手がかりとして、二つの方向性を打ち出した。一つは具体的な教育場面である。二つは、挿絵化の問題である。 第一の具体的な教育場面については次のようになった。それは幼児教育場面での絵本指導の事例、特別支援教育での事例、さらに高等学校での絵本指導の事例を考察した。その結果、絵本の教材化の可能性をその指導の多様性を明らかにすることができた。 第二の挿絵化の問題である。それは、絵に対するこだわりよりも、挿絵としてリライトしてでもそれを読者が手に取ることを重視するということであった。具体的には画家であり、絵本作家でもある小林豊のインタビューを得てそういった思いの強さを確認した。 以上を経て、教材文の読解ともに、挿絵を読み説く一助として絵本を用いることの道標を示すことができた。
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