平成25年度は、「歴史地図」の活用にあたり設定しうる目標と学習内容、さらには評価の観点など実践する際に必要な点について資料収集、分析を行った。これら作成された歴史地図教材の有する特質を活かし、日本での「世界史」学習における通史的「歴史地図」活用実践の創造に向けた条件について整理した。これを踏まえ、以下の2点に関して考察を進めた。 1.ドイツ・ブラウンシュヴァイク市にある「ゲオルク・エッカート・国際歴史教科書研究所(Georg-Eckert-Instituet)」収集の、現在刊行されている歴史及び地理教科書及び歴史教授法に関する雑誌等刊行物より、「歴史地図(Geschichtskarten)」の使用状況と活用可能性の観点から分析した。その結果、具体的な歴史地図の活用法としては、生徒の発達段階(年齢)と対応させつつ、「地図の性質に関する専門知識」「地図の読み取りに関する方法論的スキル」「地図学習の導入のためのスキル」といった、授業時における具体的な生徒の活動や身に付けるべき能力、技能が体系的に整理、提示されていた。 2.日本における歴史学習としての地図の読み取り場面において汎用性や活用可能性を示すものとして、「地図の性質に関する専門知識」(「『陸』『海』『都市』『地形』『気候』といった地理的事実の把握の徹底」、「地図作成の歴史的証拠としての『タイトル』『記号』の性質特定」、「『静態』『動態』といった、表現された歴史的状態の相違」「歴史的地図の製作・表現形式の可能性追究のあり方とその変化」「歴史的地図の作成・表現形式の定義とその歴史的相対性の認識」)を整理・提示していた点は、具体的な教授場面における学習活動の設定に際し、参考とすべき点であった。
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