本研究は、批判的リテラシーの育成に向けて、批判的思考を取り入れた問題解決学習プログラムを開発し、5つの授業実践によりプログラムを検証すると共に、改善ブログラムの検討を目的とする。なお、新科目は平成25年度入学生より学年進行で実施のため、一部旧科目(社会福祉制度、基礎介護)で実践し、実践集としてまとめた。授業の全体構成は学びのステップとして、①問題に気付く・着目→②情報収集・現状把握→③情報の取捨選択・情報の分析・関連づけ・統合化・問題の特定→④解決の選択肢の検討・解決方法の多面的・多角的検討→⑤解決策の決定と実行→⑥結果の評価・省察を設定し、各プロセスの中に批判的思考を取り入れた問題解決学習プログラムとした。一方、学習プロセスは6つのステージに基づいて、①個別事例から問題把握→②情報収集から現状把握→③必要な情報・資源の収集→情報の検討・共有→必要な支援・資源について討議・問題の特定→④具体的支援方法の検討と新たな資源の開発→⑤支援方法の決定・実行→⑥結果の発表・振り返り。生徒の学習効果・授業の有効性と今後の課題は、以下のとおりである。 1)生徒の身近な事例の活用により、問題に気付く・着目がスムーズに出来、各プロセスの中で批判的思考を深めながら解決・支援方法を導くことが出来た。2)福祉現場は個人の力だけでなく、複数の力を必要とすることから個人学習とグループ学習を取り入れた結果情報の多角的・多面的検討から新たな資源開発・支援方法を導くことが出来た。3)生徒の“関心・意欲・態度”“思考・判断・表現”“技能・修得”“知識・理解”の評価は高く授業評価も高く出たことから授業の有効性が確認された。なお、情報の取捨選択・情報の分析・関連付け・統合化・問題の特定→解決の選択肢の検討・解決方法の多面的・多角的検討に至る過程において、更なる生徒主体の批判的思考を育むことが必要である。
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