研究課題/領域番号 |
23531221
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
坂口 京子 常葉大学, 教育学部, 教授 (60440591)
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キーワード | 言語力 / カリキュラム / 教育課程 |
研究概要 |
研究目的は、第一に、戦後初期に展開された先行実践を言語力の体系・育成という観点から整理・分析すること、第二に小学校・中学校の授業を言語力育成の観点から実態調査することである。ここでいう先行実践とは、当時作成されたカリキュラム・プラン、教育課程基底案とともに、生活綴り方実践および検定教科書(国語科・社会科)である。 研究の具体的内容として、まず歴史史料を分析・考察し、その知見から、思考力、知的能力、方法知との関連を図った言語力の体系を構想する。その際、①全教育活動(全教科、総合的な学習の時間、特別活動)において育成すべき言語力と、②国語科独自で育成すべき言語力の関連と共通点、差異について明らかにする。 以上と並行して、現在行われている小学校、中学校の授業を言語力育成の観点から実態調査する。その特徴と課題を歴史的検証に照らして考察し、言語力育成のスタンダードとなる学習方法、実践事例を具体的に提案する。 平成24年度は、平成23年度に引き続き、第一の調査・分析を継続するとともに、第二の授業研究に着手した。公立・私立の小・中学校で行われている授業実践を観察している。その際、国語科のみならず、算数科、総合的な学習の時間、特別活動を対象にした。授業実践の本格的な記録・分析は次年度への課題であり、それとともに先進的な実践事例の収集・分析を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
達成度が「やや遅れている」とした理由として、①史料や文献の調査に難航していること、②大学での業務増加による時間的制約がある。 第一については、各地域・学校における教育課程案発掘に難航しており、雑誌論文調査に切り替えて進めている。 第二の時間的制約は、海外教育観察実習(ドイツ・スイス)の主担当となったことである。半年間にわたる特別授業の担当になったことから、史料文献の発掘・調査ならびに授業実践の記録・分析が計画段階まで至っていない。とくに授業実践については、公開可能な学校・クラスとの交渉後その授業観察に着手したが、本格的な記録・分析はこれからである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として5点ある。 第一に、平成23・24年度調査の継続である。昭和20年代の教科書調査と史料調査をさらに進める。第二に、第一の成果をふまえ、言語力の定義と体系について総括することである。第三に、現在行われている授業の調査研究である。小学校、中学校の各授業を記録・分析することにより、言語力育成の課題を明らかにする。さらに先進的実践を収集・記録し、その特徴について考察する。第四に、以上を研究的に止揚することである。とくに思考力、方法知と言葉の教育との関連を明らかにすることで、言語力の体系化と育成の方向性を明確にする。第五に、関連学会および研究会等で成果を発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費使用計画は以下のとおりである。 (1)物品では、①デスクトップパソコンおよびプリンター、②ビデオカメラを購入する。図書については、「言語力の体系と育成」に関する文献目録にそって購入を進める。 (2)旅費は、図書館への調査、学会への参加等が中心となる。 (3)その他謝金等は、主なものとしてインタビュー調査の謝金、授業公開への謝金、報告書作成等を予定している。
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