研究課題/領域番号 |
23531224
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
森田 真樹 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (60340486)
|
キーワード | 社会科教育 / 国際理解教育 / アメリカの教育 / シティズンシップ教育 |
研究概要 |
本年度は、本研究の目的である、多文化認識及びグローバル認識とその資質形成を中核にすえた社会科カリキュラム開発のあり方の解明を目指し、3年間の研究のまとめを行うことを主に行ってきた。主には、研究計画で示した、つぎ点を中心に研究を進めてきた。 ①資料収集と分析対象の州教育省調査のため、米国への現地調査を実施する。②3年間の研究を踏まえ、研究課題である、多文化認識及びグローバル認識、および、その認識から育成されるマルティカルチャル・シティズンシップやグローバル・シティズンシップの育成が、どのように整合性を保ちながら、社会科カリキュラムや教科書内容に組みいれられているのか、小学校、中学校、高等学校段階におけるその原理を明らかにしていく。③本研究の内容が、日本の社会科教育、国際理解教育などへどのように応用可能であるのか検討をすすめる。 研究の遂行にあたり、日本の国際理解教育研究においても参考となる研究もあり、理論的な枠組みを整理するために検討した。また、米国のシティズンシップ教育の特質を明らかにするため、イギリスやアジア諸国のシティズンシップ教育にも目を配りながら検討を進めた。さらに、政府主導の教育改革の学校現場への影響、シティズンシップ育成と公民教育改革をめぐる最近の動向も整理しながら研究を進めてきた。なお、発表後、時間が経過しておらず、現在のスタンダード開発や教科書開発に、大きな影響を与えているとはいえないが、関連諸団体の協力のもと、NCSS(全米社会科協議会)が発表した、The College, Career, and Civic Life (C3) Framework for Social Studies State Standardが、今後、どのような影響を与えていくのかという、新しい課題についても、継続して検討をしている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論的な研究にあたる部分はほぼ予定通り研究が進んだものの、次の3点において、研究計画通りに進まず、継続して研究を遂行していきたい。 第1に、教科書収集の作業において、一定期間の間に必ず教科書が改定されるという制度ではないこともあって、本研究課題の解明に適切な教科書の選定に時間を要した。全国版ではなくて、「○○州版」という教科書の入手において、とくに困難さがあり、継続的な作業が必要となった。 第2に、夏期に、サンフランシスコ州立大学、スタンフォード大学にて調査活動を行い、最新の情報は入手したものの、日程調整が難しかったこともあり、予定していた訪問先に行くことができなかった。 第3に、全米社会科協議会が中心となり、新しいスタンダード(The College, Career, and Civic Life (C3) Framework for Social Studies State Standards: Guidance for Enhancing the Rigor of K-12 Civics, Economics, Geography, and History )を発表し、その発表後の動向も加味しなければならないという、新しい検討課題が急遽表出した。 このような研究遂行上の予定の変更及び、新しい状況を加味して研究を進めるために、研究期間を1年間延長いただく申請をした。
|
今後の研究の推進方策 |
1年間の研究期間の延長を許可いただいたため、当初の研究計画で予定していた研究の全体的総括を行うとともに、継続的な教科書やカリキュラム入手の作業、前年度、日程調整の関係で予定通りの訪問ができなかった、米国での現地調査、さらに、社会科の教科書開発やカリキュラム開発に影響を与える教育改革の最新事情の把握という、3点について、研究のまとめをする過程と併行しながら実施していきたいと考えている。 なお、米国の現地調査にあたっては、訪問先や訪問者を再検討することも含めて準備を進め、可能な限り、夏期休暇中に実施したいと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
予定していた現地調査が実施できず、購入予定の学校用教科書の入手が困難であったため。 米国への現地調査、および、学校用教科書や関連文献の購入に使用する計画である。
|