研究課題/領域番号 |
23531225
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研究機関 | 四天王寺大学 |
研究代表者 |
中本 和彦 四天王寺大学, 教育学部, 准教授 (80513837)
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キーワード | 地理教育 / 地誌学習 / 社会科教育 / フレームワーク / 授業開発 |
研究概要 |
本年度は,新しい地理教育フレームワークの構築に向けた地誌学習の類型化とそれを踏まえた授業モデルの開発を行った。前者については,草原和博の地理教育の「社会化」論の類型をもとに,今日みられる地誌学習を「認識対象」と「視点」という2点から類型化し,より社会認識形成において有効な地誌学習の授業構成の論理を明らかにした。その成果については,「社会認識形成のための地誌学習―『地理で教える』の再検討―」全国社会科教育学会第61回研究発表大会(課題研究II),(岐阜大学,2012年10月21日)において口頭発表した。 後者については,前者を踏まえて,具体的な授業モデルを,単元「アメリカ」を取り上げて開発した。その成果については,「中等地理・単元『アメリカ』の教育内容開発―社会認識形成のための地誌学習―」社会系教科教育学会第24回研究発表大会自由研究発表(第6分科会),(兵庫教育大学,2013年2月9日)において口頭発表した。また,これらの成果を踏まえて,中学校教員によって組織された任意の教育研究団体(授業のネタ研研究会)においても口頭発表を行い(「様々な地誌学習とその射程」授業のネタ研究会IN関西第30回記念大会(弁天町市民学習センター,2013年3月24日)),実際の学校現場における実現可能性などについて批判・検討を行い,概ね満足のいく結果が得られた。 また,開発した授業モデルの実践・検証にむけ,新学習指導要領における地理的分野の現状や課題についての中学校教員への聞き取りや検証授業実施についての依頼などを行い,実践上の課題などの情報を収集することができた
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しい地理教育フレームワークの構築に向けた地誌学習の類型化とそれを踏まえた授業モデルの開発を行うことができた。また,学会,任意の教育研究団体等への参加・発表によって,地誌教育に携わる研究者,実践者との意見交換・情報収集,授業モデルについての批判・検討を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は,おもに次の1~6のような方策で推進していく。1.地誌学習の授業モデルの完成を図り,中学校・高等学校教員へ授業モデルの実践・検証を依頼する。 2.授業モデルの開発と同時に,授業モデルを実際の授業へとつなぐ学習材(補助教材)の開発を行う。3.中学校・高等学校教員による授業モデルの検証授業を実施し,授業記録をとるとともに,授業者,学習者への授業アンケート,授業者への聞き取り調査を行う。4.検証授業での授業記録,アンケート,聞き取り調査をもとに,検証結果の分析を行う。5.分析結果をふまえて,地誌授業モデルに修正を加え,本研究の成果とまとめとして,新しい地理教育フレームワークと地誌授業モデルの提案を,学会等の場で発表する。6.学会等での反応を踏まえて再度修正を加え,報告書等で発信する。
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次年度の研究費の使用計画 |
授業モデル実践・検証のための実践者との打ち合わせ,授業観察・記録のための旅費など。授業記録・分析のためのビデオカメラ,コンピュータソフトなどの設備備品費,その他記録用メディアなどの消耗品費。社会科教育関係,地理教育関係,授業モデル開発関係などの書籍費。補助教材冊子印刷費,報告書印刷費など。 尚、書籍の取り寄せに時間がかかり、一部平成24年度での研究費の使用に係る事務手続きが間に合わなかったものがあった。そのため、平成25年度における書籍費に組み込んで研究費を使用する計画である。
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