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2012 年度 実施状況報告書

国語科のグループワークにおける協同性の成立条件に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23531230
研究機関福山市立大学

研究代表者

森 美智代  福山市立大学, 教育学部, 准教授 (00369779)

研究分担者 寺田 守  京都教育大学, 教育学部, 准教授 (00381020)
渡辺 貴裕  帝塚山大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50410444)
キーワード国語教育 / 授業研究 / 教育方法学
研究概要

本研究は,国語科の言語活動において,協同性を保障する条件が,いかなるものかを明らかにすることを目的としている。特に4~6人で学習するグループワークに焦点を当て,話すこと・聞くこと,読むことの領域を中心として,言語活動の分析,開発,及び検証を行うものである。
そのために,まずは理論的究明として,(a)対面の他者との対話,(b)小グループの読書による読みの推進,(c)演劇的活動によるノンバーバル・コミュニケーションという個別領域の検討を行った。これらは,国語科教育において蓄積されてきた,グループワークを用いた言語活動である。それを,協同性という観点から捉え直すことによって,国語科教育における協同性の諸相を明らかにすることを試みた。当該年度は,特に(a)対面の他者との対話の側面から,コミュニケーション論の基盤ともいえるハーバーマスの理論について検討し,話し合い活動を分析するための新たな視点を提出した。
また,授業観察として,学校現場に出向き,小学校高学年~中学校段階の国語科の授業を見学,記録し,また分析を行った。授業時間数は一様ではないが,複数の協力校において,グループの発話,教師による指導言および応答を記録し,そこに見られる社会的相互作用についての質的な分析を行った。特に,文学的文章教材の読みを深めるための手立てとして取り入れたグループワークについて,それぞれを記録,文字化し,データを集積することに力を入れた。そのうちの一部については分析も行い,協同性が実現しているとみなすための根拠となる事象及び,表れの検討を行った。
今後は,さらなる分析を進めるとともに,これらの成果にもとづく授業モデル及びカリキュラムモデルの策定を行い,協力校での実験授業における検証を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度は,昨年度に引き続き,文献調査を中心とした理論的究明と,それに加えて授業観察を行った。特に授業観察について,文学的文章教材の読みを深めるための手立てとして取り入れたグループワークについて,それぞれを記録,文字化し,データを集積することを重点的に行った。
協力校での授業観察においては,調査のみを実施することはほとんどなく,当該授業の指導計画から共同で行い,指導案に即した記録を行った。調査にのみ特化できなかったという点で,データの集積に時間がかかり,また,結果として一時間の授業に対するデータの量も計画当初よりは大きくなった。
また,対象校を増やしたために,データの集積については完了していない。そのため,集積したデータの分析についてはやや遅れがみられる。しかし,実験授業として実施する予定の部分を前倒しして行うことにもなり,達成度としては,おおむね順調であると評価できる。

今後の研究の推進方策

今後は,さらなる分析を進めるとともに,新しくは実験授業を実施し,その成果を検証する予定である。実験授業では,理論的究明,授業観察等によって得られた,国語科のグループワークにおける協同性成立の条件に関する知見をふまえ,協同性を保障する具体的な言語活動とそれを含み込む単元計画,授業計画を設計する。それを,複数の研究協力校(小学校・中学校)における授業として実施してもらい,その成果を検証する。
実際はデータの集積の段階で,調査のみでなく,当該授業の指導計画から共同で行ったため,一部の実験授業についてはすでに実施し,その検証を進めている。今後も引き続き,データの集積と同時に,実験授業の実施に取り組んでいく予定である。

次年度の研究費の使用計画

当初の計画では,実験授業の対象校を協力校である中学校のみにしていたが,その後の研究フィールドの開拓によって,小学校を含め,複数の学校で実験授業を実施することが可能となった。新しく加わった協力校については,これからデータの集積を行うところもあり,記録のための機器・機材が必要となることが見込まれる。そこで,当該校の実態を明らかにした上で,研究費については,研究が迅速に実施できるような備品の整備と,複数の協力校との打ち合わせ・授業研究のための旅費に充てたい。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 解釈を巡って対話する文学の授業の研究2013

    • 著者名/発表者名
      寺田守
    • 雑誌名

      京都教育大学紀要

      巻: 122号 ページ: 11-26

  • [雑誌論文] 物語体験に関する一考察―物語り的な歴史哲学の視点を手がかりとして―2013

    • 著者名/発表者名
      森美智代
    • 雑誌名

      福山市立大学教育学部紀要

      巻: 第1号 ページ: 103―110

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 国語科の「話し合い」活動を支える理論の検討 ―ハーバーマスのコミュニケーション論を中心として―2012

    • 著者名/発表者名
      森美智代
    • 雑誌名

      国語科教育

      巻: 第72集 ページ: 17-24

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「夏を見上げて。」(あさのあつこ)を小集団で読む2012

    • 著者名/発表者名
      寺田守
    • 雑誌名

      三省堂国語教育ことばの学び

      巻: 26号 ページ: 22-23

  • [学会発表] 解釈を巡って対話する文学の授業

    • 著者名/発表者名
      寺田守
    • 学会等名
      京都国語教育アセンブリ
    • 発表場所
      京都JA会館(京都府)
  • [学会発表] 話者の判断や評価の表れる言葉に着目する文学教材の解釈 ―「走れメロス」(太宰治)の一文を読む―

    • 著者名/発表者名
      寺田守
    • 学会等名
      第123回全国大学国語教育学会富山大会
    • 発表場所
      富山大学(富山県)
  • [学会発表] 「物語体験」に関する理論的考察―ハンナ・アーレントの「今パッション」を中心に―

    • 著者名/発表者名
      森美智代
    • 学会等名
      第123回全国大学国語教育学会富山大会
    • 発表場所
      富山大学(富山県)
  • [図書] 文学教材の解釈20122012

    • 著者名/発表者名
      寺田守編著
    • 総ページ数
      全220頁
    • 出版者
      京都教育大学国語教育研究会
  • [図書] 教師コミュニケーション力・読書とコミュニケーション,2012

    • 著者名/発表者名
      寺田守(森山卓郎編著)
    • 総ページ数
      46-47
    • 出版者
      明治図書
  • [図書] 特別支援教育ハンドブック・特別支援教育と国語の授業づくり2012

    • 著者名/発表者名
      寺田守(相澤雅文,牛山道雄他5名編集)
    • 総ページ数
      74-75
    • 出版者
      クリエイツかもがわ
  • [図書] 児童サービス論・児童にとっての読書の意味2012

    • 著者名/発表者名
      寺田守(難波博孝,山元隆春,宮本浩治編著)
    • 総ページ数
      25-36
    • 出版者
      学芸図書

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公開日: 2014-07-24  

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