初年次及び第2年次に引き続き、月1回、「読解力育成のための授業改善モデル」作成のためのワーキンググループを開催し、主に算数科、理科について、国立教育政策研究所が作成した「評価規準の設定例」及び「小学校学習指導要領解説」等を基に、「各教科等の学習に機能する読解力」の抽出作業を行いモデルを作成した。 また、2年次に入手したドイツ・ベルリン市の、読解力向上のための研究成果報告書を翻訳し、分析を行った。ドイツでは国全体で、全教科での読解力向上を進めているが、ベルリン市においては自然科学系の教科における読解力向上に重点を置いて取組を進めている。その一つに、読解方略を取り入れた指導がある。読解方略の具体は以下の通りである。方略1:テキストに関する質問に答える,方略2:テキストに関する質問を作成,方略3:テキストの構成・内容を整理,方略4:図表つきのテキストを読む,方略5:テキストを色分けしてマーキング,方略6:テキストを異なる形態に置き換える,方略7:テキストを拡張する,方略8:同じテーマの多様なテキストと比較,方略9:キーワードを見つけ、テキストを要約,方略10:5段階スキーマを応用(①ななめ読み ②選択的読解 ③詳細読解 ④反復による理解の拡張 ⑤確認) こうした方略は、子供たちが目的をもってテキストに働きかけ,必要な情報を収集したり理解したりすることを通して自らの課題の解決に役立てていくものである。 さらに、ベルリンにおける読解力向上を目指した公立図書館での取組について調査するため、ベルリン・ブランデンブルグ州立学校・メディア研究所及びシュパンダウ区立図書館を訪問し、詳細な聞き取りを行い、関係資料を入手したところである。この訪問等の結果、ベルリン市内の図書館において、子供たちが情報検索能力を高めていけるように、発達の段階に応じた指導が行われていることを初めて明らかにした。
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