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2011 年度 実施状況報告書

若年者の職場定着に関する研究~職業教育を通じて

研究課題

研究課題/領域番号 23531236
研究機関弘前大学

研究代表者

小磯 重隆  弘前大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (50431458)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード進路指導 / 若年者の職場定着
研究概要

本研究は、青森県の若年者雇用に関し、入社3年以内離職率が59.8%(平成16年青森県高等学校卒業者)に上る緊急課題を、高等学校調査を行い、県生涯学習課等の関係機関と協力し、若者を自立へと導く「職業教育」を研究・開発するものである。研究の計画を3区分し、第一の計画は高等学校調査、第二の計画は調査の分析から「基礎職業教育」要素を検討し教育コースを開発、第三の計画は開発された教育コースの実施と検証を行う。本年度は、第一の計画を主に、高等学校調査を実施した。 高等学校調査は、まず郵送によるアンケート調査を青森県内すべて(県立高等学校68校、私立高等学校17校、合計85校)の高等学校に依頼し、69校(回答率81.2%)から回答を得た。進路指導担当部門に「高等学校進路指導に関する状況調査」6項目24質問事項で調査を行った。つづいて、直接、進路指導部門を訪問ヒアリングする調査を県内20校実施した。アンケート回答内容補足の他、進路指導担当者の考えを聞いた。例えば、若者に求められる職業能力は何か、生徒はやりたい仕事を選べているか、キャリア教育はどのように実施されているか、などである。県内高等学校の進路指導担当者を多数ヒアリングした事例はなく、有意義な調査となった。 第二の計画である教育コースの開発について、アンケート・ヒアリング調査の分析中であるが、一部を平行して試験的に検討を進めた。離職率の改善には「職業に立ち向かうための職業能力」育成が求められる。例えば「仕事が楽しくなる能力」について課題達成型授業が有効であるか検討した。大学生に対して課題達成型授業(参加型授業)90分×3回を実施した。社会人基礎力の育成に有効であると考えられる。本学21世紀教育フォーラム第7号2012に「社会人基礎力と就業力の育成」として報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の計画を3区分し、第一の計画は高等学校調査、第二の計画は調査の分析から「基礎職業教育」要素を検討し教育コースを開発、第三の計画は開発された教育コースの実施と検証を行う。本年度は、第一の計画を主に、高等学校調査を実施した。 高等学校調査の「研究の目的」は、高等学校の教育に不足すると考えられる若者への「基礎職業教育」要素を検討することにある。進路指導体制や模範的なキャリア教育カリキュラムを見つけることではない。「基礎職業教育」は専門職業教育(工業や商業など)とは異なる職業観やキャリア意識を含む「職業に立ち向かう能力」である。調査結果の集計のみから結果は得られないが、アンケート及びヒアリング調査から高等学校の状況を把握することができ、いくつかの能力要素を見い出すことができた。次年度にも継続して調査・検討を行う予定である。 アンケート調査を青森県内すべて85校の高等学校に依頼し、69校(回答率81.2%)から回答を得た。進路指導部門を訪問ヒアリングする調査を県内20校実施した。充分なヒアリングができたため、30校程度のヒアリングを予定していたが、10校分は、分析を一部進めた後に次年度実施することとした。 第二の計画である教育コースの開発を一部、試験的に進め、課題達成型授業が有効であるか検討した。大学生に対して課題達成型授業(参加型授業)90分×3回を実施し、社会人基礎力の育成に有効である結果が得られた。

今後の研究の推進方策

アンケート、ヒアリング調査の分析から「基礎職業教育」要素を検討し、講義と実習からなる教育コースを3時間×4コース開発する。職業教育は、専門的な知識・技能のための「専門職業能力」と、基礎的な職業観やキャリア意識を含む「基礎職業能力」がある。本研究では、この基礎職業能力に着目し、若者が仕事に立ち向かう能力を身に付けるための教育コースを研究・開発する。第二の計画(教育コースの研究・開発)を中心として、第一の計画で行っている高等学校調査も継続して実施する。 例えば「仕事が楽しくなる能力」も、若者が仕事に立ち向かう能力のひとつになると想定しており、この能力要素が調査・研究から必要なものと確認できれば、この能力要素を体験的に学べる具体的内容及び教材を開発するという手順を踏む。基礎職業教育の要素が複雑あるいは多数存在すると判断される場合は、3時間×4コース開発の予定から、必要に応じて、時間数やコース数を見直す。重要度及び優先度から開発するコースを検討する。初年度に「仕事が楽しくなる能力」について課題達成型授業が有効であるか検討した。課題達成型授業(参加型授業)は、社会人基礎力の育成に有効であると考えられるため、今後、どのような参加型授業が、どのような能力要素に有効かを検討し、教育コースを開発していく。試験的に大学生及び高校生に対して教育コースを実施していく。外部協力として青森県総合社会教育センターとも連携し、高校生への教育コース実施を行っていく。

次年度の研究費の使用計画

今年度、高等学校調査(ヒアリング調査)について、一校当たりの旅費単価が安かったこと、一定の成果が得られたため、調査校数を10校減らしたことにより、226,537円の繰越研究費が生じた。 物品費として、キャリア教育関係図書及び職業能力開発関係図書(3000~5000円×各10冊程度)80,000円、開発する職業教育コースの文具・材料費・教材費306,537円、記録機器(ビデオ・カメラ・録音)150,000円を計画している。開発する教育コースの内容を今後検討していくため、必要となる教材は現時点で確定しないが、紙・ファイル類・文具・データ保持・テキスト等及びプロジェクター等機材となる見込みである。旅費として、資料収集(職業能力開発総合大学校等3回)140,000円、教育コース開発(高等学校等)50,000円、高等学校訪問(ヒアリング調査)100,000円を計画している。その他として、高等学校調査中間報告書(印刷・通信)50,000円、追加アンケート(印刷・通信)50,000円計画している。直接経費として926,537円、間接経費210,000円を計画している。 研究を遂行する上で、誰でも活用できる教育コース開発であるか確認する課題がある。自分以外で、第三者に講師を依頼して確認する場合には、研究費の使用計画を一部変更して謝金として対応することを検討する(今年度に実施する場合の変更は50,000円程度の範囲)。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 社会人基礎力と就業力の育成2012

    • 著者名/発表者名
      小磯 重隆
    • 雑誌名

      21世紀研究フォーラム

      巻: 第7号 ページ: 29~36

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公開日: 2013-07-10  

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