研究課題/領域番号 |
23531241
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
大友 秀明 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30176945)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | シティズンシップ教育 / 政治教育 / 文化学習 / 社会科教育 |
研究概要 |
本研究の目的は、(1)我が国やドイツの学校において多様に実践されている「政治教育・シティズンシップ教育」の歴史と現状を調査・分析し、その複雑な教育パターンを類型化・体系化するとともに、(2)文化(文化財・文化遺産・文化政策)に関する教材を開発し、実践することによって、「公共」に主体的に参画する意識や態度を身に付けた市民を育成する「政治教育・シティズンシップ教育」の意義と可能性を究明することである。 本年度は、大きく2つの方向から研究を進めた。 第一に、「文化学習」の構想・展開のために、ドイツの各都市の文化、歴史、美術、町並、世界遺産などについて現地調査を行った。博物館所蔵の資料・史料、関連書籍、スライドなどを収集し、分析検討し、「文化学習」の教材化やドナウ河流域の文化圏に関する有益な着想を得た。 第二に、中学校における政治教育・シティズンシップ教育を構想し、実際に授業展開を試みた。そこでは、社会参画が期待されるシティズンシップ教育と災害・震災(防災)との関連を概観した。また、「震災」を題材にした中学校社会科(公民的分野)教育の構想と実践内容を提示し、最後に、「震災」から「防災」への道筋、震災を含めた現代の「リスク社会」における教育の在り方に関する暫定的な考え方を提示した。 今年度は、(1)「文化学習」の構想と実践のための基礎的な調査・教材研究を遂行し、(2)「政治教育・シティズンシップ教育」の授業化の手法・手立ての諸要素の抽出を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
定期的に研究協力者との「ローカルマニフェスト・シティズンシップ教育研究会」(大宮ソニック埼玉大学)を開催し、政治教育・シティズンシップ教育の理論や授業構想について検討・議論を行っている。 また、世界文化遺産の現地調査を実施し、教材や資料を収集することができた。さらに、「震災」を教材にした政治教育・シティズンシップ教育の授業を構想し、実践し、その概要や意義について論文にまとめることができた。 ただし、「文化」を中核とした「政治教育・シティズンシップ教育」のプラン作りには着手していない。この点については、今後の研究課題である。
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今後の研究の推進方策 |
「文化」を中核とした政治教育・シティズンシップ教育の教材開発及び指導法に関して、予備的な児童・生徒へのアンケート調査を実施する。また、具体的に世界遺産教育の可能性を探り、政治教育・シティズンシップ教育と世界遺産教育の関連性についても探究する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年次以降の研究計画は、以下のとおりである。 (1)政治教育・シティズンシップ教育、世界遺産教育(世界文化遺産)に関する基本的 資料、文献を収集する。(2)研究環境を整備するために、デスクトップパソコン、プリンターを購入する。(3)教材研究のために現地調査を実施する。(4)教材開発し、実践のための指導案を作成し、授業研究を行い、そのプロセスを分析し、評価する。
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