研究課題/領域番号 |
23531244
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
松原 幸夫 新潟大学, 産学地域連携推進機構, 教授 (20401771)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 教育学 / 科学教育 / 技術伝承法 / 熟練技術 / 暗黙知 / 暗黙知教育 |
研究概要 |
本研究の目的は、高度熟練技術分野における人材育成法を活用した教育カリキュラムを開発することにある。 平成23年度は、日本および欧州の「先進企業」の専門職人材育成法、ならびに大学および専門学校における専門職人材育成教育の特性について調査研究した。 また、日本および欧州の伝統的な技術伝承法が「守、破、離」等に見られる職人遍歴プロセスをもち、極めて類似した形で行われてきたことを検証し、そのような学習法の意味について考察した。 平成23年度の研究実績の概要は次のとおりである。(1)2011年6月25日『先進的高度熟練技術企業における専門職人材育成の日欧比較』というテーマで日本知財学会において発表した。(2)2012年3月13日:NEC知的資産セミナー「形式知と暗黙知から見た人材育成のあり方」において日欧の高度熟練技術企業の人材育成について講演するとともに暗黙知経営企業の人材育成についてワークショップを開催した。(3)2012年2月12日:平成23年度第2回新潟大学社会連携フォーラム『Best or Nothing/ものづくりへの誇りと連帯』において、東海バネ工業、曙産業、ドイツ・アーブルグ社の招待講演の後、人材育成法について公開討論会を開催した。(4)2012年2月10日:新潟市区自治協議会委員研修会基調講演「改めて問い直す『協働の要』とは」において、地方自治における人材育成のあり方について講演した。(5)2011年10月7日:新潟清心女子高等学校特別授業「自分の生き方 」において、暗黙知醸成教育法について講演した。(6)2011年9月2日:メイドイン燕フォーラムにおいて「ドイツに学ぶこれからの燕三条のものづくりのあり方」というテーマで、日欧の先進的高度熟練技術企業の人材育成法について講演した。(7)2011年6月3日発明通信社公開講座において、日欧の先進企業のものづくりと人づくりのあり方について講演した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本および欧州の「先進企業」における専門職人材育成法については、東海バネ工業、曙産業、新光金属、ドイツ・アーブルグ社、ドイツ・シュティール社にヒアリング調査を行った。教育機関については、2011年9月に筑波大学田中洋子教授と面談し、ドイツの徒弟制度の変遷と現代のドイツの企業と大学における人材育成について聴取した。2012年1月には徳島大学三宅洋一郎教授と暗黙知教育について情報交換を行った。2012年3月には鹿屋体育大学平沢信康教授と面談し、同大学における人材育成、技能伝承法について聴取した。 上記調査の他、日本および欧州の伝統的技術伝承法について文献調査を行った。これらの研究成果に基づき学会やセミナー等で、人材育成カリキュラムの構成原理を提示した。 平成23年度は、上記のとおりほぼ順調に調査研究は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、現在最先端技術分野において高度な熟練技術を保有し先進的な取り組みをしている企業(以下「先進企業」という)の人材育成のベストプラクティスを大学教育に導入するだけでなく、日本および欧州の16世紀以降の伝統的な技術伝承の在り方等も検証しながら、わが国の今後の研究開発や技術伝承のあるべき姿と理念を明らかにし、その理念を踏まえた上で、今後の日本の大学および企業における専門職の人材育成法を再構築することを目指すものである。 平成24年度は、平成23年度に得られた大学教育のカリキュラムに援用する枠組みと構成原理に基づき、各研究課題に対応した指導内容として明確に位置づけ、学習のための原理として提示する。大学および大学院の自然系の共通教育および研究室の複数学年において、上記構成原理に基づく検証授業を実施し、課題を把握する。24年度も引き続き専門職人材育成のヒアリング調査を実施する。ヒアリング対象先として国内の「先進企業」3社、欧州の「先進企業」2社、伝統技法関連団体2団体、教育機関2団体を予定している。「日本知財学会」等で研究成果の中間報告を発表する。 平成25年度は、前年度に実施した検証授業を受けて、カリキュラムの成果と課題を整理し、大学教育における専門職人材育成カリキュラムとしてまとめる。教材開発を目的としたDVDを作成し、その検証を行い、大学教育で機能する専門職人材育成カリキュラムとして提示する。研究成果については、関連学会等で発表し、学術雑誌に論文として投稿し、また報告書として印刷し、大学や研究機関に公表配布する。英語論文として学術雑誌にも投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は、企業等へのヒアリング調査を6件、大学へのヒアリング調査を3件行ったが、まとめの作業に工数を要したため、ヒアリング調査件数が当初予定したものより若干少なく104,916円の残金が発生した。(次年度使用額(B-A)は、326,760円であるが、3月発生4月支払分の費用を除いた実質的に24年度に使用できる残金は104,916円である。) この繰り返し予算で24年度に、23年度にヒアリング調査できなかった企業を、当初から予定していた日欧の先進企業、教育機関に加えてヒアリング調査を行う予定である。 平成24年度には、徳島大学の教養課程の共通教育において暗黙知教育「感性の磨き方」を検証授業として行う。 また「明日のものづくりの会(仮称)」(ものづくりと人づくりを考える研究会)において、暗黙知醸成を目的とした専門職人材育成教育について調査研究する。 研究費は主に、上記の調査のための旅費、宿泊費、謝金、文献調査費等に使用される。
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