本研究の目的は,1.複数の教師が単元デザイン作成過程に参加し,個々の教師が保有する実践的知識を具体的に解明すること。2.授業研究実施後に行われる事後検討会において,教師が何を学んでいるかを解明することである。研究最終年度である平成26年度においては,F市T小学校の校内授業研究会の事後協議会を対象として,小グループ編成における協議会の対話に着目し,参観した授業から教師は何を学習しているのかについて具体的に明かにすることを目的として研究を推進した。その結果,以下のことが明らかとった。第1に,個々の教師は,参観した授業から子どもの表れや教師のとった行為を捉え表象する。そして,その事実や解釈を基盤とし,問題点の指摘や授業の文脈に則した代案を提示している。第2に,同僚との対話的な相互作用を通して,授業の見方や在り方に関して視点を交流させる,問題場面を多角的な視点からその改善の方法を検討する,さらに実践経験に基づいた代案を提示することで創造的に授業を再構成していることなどが確認された。
|