研究3年間の活動内容を次のように整理する。 [研究1年目の確認事項]①音楽の諸要素や仕組みが表現と鑑賞の両方へ作用していることに気づかせることで、音楽的意味や価値を考えることへ繋がる。②曲を分析的に聴く力を身に付けることで、気づいたことや感じたこと、考えたことなどを伝える言語表現力へ繋がる。③“聞く”ことと、音楽を分析的に“聴く”ことを区別させることが課題。④自らの演奏を客観視する“音楽の鏡”を持たせることと、自らを省察する “音楽の鏡の見方”を教えることが課題。 [研究2年目の確認事項]①“演奏”や“聴く”行為そのものが創造的な活動であることを理解させることが課題。②“聴く”と“聞く”の違いを意識させ続けることが課題。③自らの演奏を客観視する“音楽の鏡”を絶えず意識させながら模範演奏と自分達の演奏を聴き比べて演奏表現を磨き上げる自己省察の活動が課題。各研究協力校の研究大会と尾張教育研究会の大会で、研究経過と研究実践が報告された。 [研究3年目の確認事項]各研究協力校の研究大会と愛知県小中学校音楽教育研究大会で、研究経過と研究実践が報告された。その骨子は次のとおり。①音を出すことだけが表現活動ではなく、音符の動きから音の動きを想像して頭の中で響かせた音から音楽表現の変化を感じ取ることも表現活動の一部である。②出した音を聴く行為、頭の中で音を響かせながら楽譜を読み解く行為の全てが鑑賞活動と結び付いている。 その際の活動プロセスを次の4段階に措定している。①演奏を聴いて要素に気付き、感じ取り、意識する段階。②演奏を聴いて、その良さや働きを自覚し、それを生かしたり際立たせたりする段階。③要素同士の係わりや組み合わせによって生まれる効果や働き、要素の組み合わせで形づくられる音楽の仕組みを考える段階。④気付き感じたことを自らの演奏へ結び付け、言語・非言語活動を活用して共通理解へ高める段階。
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