研究課題/領域番号 |
23531255
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
小島 律子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (20116156)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 教育学 / 教科教育学 / 教材開発 / 伝統文化 / 和楽器 |
研究概要 |
本研究は義務教育9年間の和楽器合奏の教材プログラムを開発することを目的としている。本年度は9年間の教材プログラムの原案を作成・実施した。それはこれまで申請者が作成した筝の指導プログラムを土台としており、大阪教育大学附属平野小学校では竹を素材とした打楽器類を加えた合奏にし、附属平野中学校では篠笛と三味線を加えた合奏にした。それらの授業実践は平成23年11月および24年2月の附属校の全国研究大会で公開し、参加者から意見を得た。そして演奏については11月30日グランキューブ大阪で開催された附属校の学外音楽会で発表し、その後児童、保護者の評価アンケートをとった。 以上の教材プログラムの実践を通して、まず和楽器の奏法を練習してから合奏をするという旧来のアプローチではなく、音を合わせて合奏をつくっていくことを通して和楽器に習熟していくという生成のアプローチの有効性が具体的な授業や演奏という形で示された。ここに本研究の意義を認めることができる。 さらに、教材プログラムは附属校で開発したものであるため、汎用性を求めて大阪市の公立学校で実践検証を行い、改訂を始めた。和楽器合奏の中核としている筝の指導プログラムについても、これまでの筝の教則本を収集し、連携研究者とともに指導内容の系統性の分析を行い、その結果を参照して指導プログラムの改訂を行った。 また、伝統音楽教育の先進国である韓国に、申請者、連携研究者、協力研究者で出向き、9年間の系統性の観点より小学校から高等学校の伝統楽器の授業を観察調査した。この分析は次年度の課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の実体は義務教育9年間の和楽器合奏教材プログラムの作成になる。したがって今年度その教材プログラム案が作成・実践できたことで9割目標を実現したといえる。 海外調査により本教材プログラムの検証の視点を得るという計画については、調査自体は実施した。その記録化および整理は次年度に延びた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は9年間の教材プログラム案の作成・実施が主であった。次年度は(1)それを幅広い範囲で実施して検証・改訂を行うこと、(2)育成された学力を評価する評価基準の作成、そして(3)その過程と結果を整理し理論化することが課題となる。そして、次々年度は以上の成果をもって、社会に問題提起し、成果の発信と普及に向けた活動を行うことになる。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.本年度の教材プログラムの検証と改訂のために、教材プログラムの映像記録の整理を行う(AV機器の付属品購入、補助員謝金、ビデオ編集謝金)。2.附属校で作成された教材プログラムの汎用性を求めて、公立校で実践・検証を行う(和楽器メンテナンス費用、和楽器専門家による指導助言の謝金)。3.本教材プログラム実践の過程と成果を理論化し発表する(学会発表の旅費)。
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