本研究の目的は、①実社会の有り様を反映して、多様な在り方が可能であることを体験的に理解できるシミュレーション教材を開発する、②そして、開発した教材を用いて、単一の在り方しか認めない子どもの認識を揺さぶり、子どもがその偏狭な認識を変革し発展させていく筋道を実証的に明らかにすることである。 そのため、本研究はシミュレーション教材の開発とその教材の有効性の検証という実験的実証的方法によって進めていく。教材の開発はこれまで開発されてきた既存のシミュレーション教材に学びつつ、教材化する事例の研究を踏まえ、教材の核となるシミュレーション・モデルを構築する。試作された教材は、大学生と中学校・高等学校生徒による二重の評価試験を経て、調整を加えていき、完成度を高めていく。最後に、開発した教材を使用する授業実施のためのマニュアルやワークシート等補助教材を作成し、WEB上で発信、本格的普及を図る。また、教材利用者に事前アンケートおよび事後の評価アンケートを答えて貰い、本教材の有効性を広く検証するとともに、他の分野での教材開発ニーズを探り、今後の研究の発展資料とする。 本年度は、前年度の試行実験の成果に基づいて教材の部分的な修正を行った上で、中学校での試行実験を行った。その結果、教材の一般的供用が可能であることが確証された。さらに、教材の普及に向けて、教材の利用マニュアル、ワークシート等を作成し、WEBページにて公開した。これらの成果は、WEBページで速報するとともに、関連学会及び論文で発表している。
|