研究課題/領域番号 |
23531261
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
小野 昌彦 宮崎大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (40280143)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 不登校 / 教育委員会 / 教師 / 欠席理由 / 行動療法 / アセスメント |
研究概要 |
平成23年度のA市を対象とした不登校発現予防・減少対策開発研究の結果概要を以下に記述する。1.目的:不登校児童生徒に対する市単位の系統的不登校発現予防・減少対策を構築する。2.対象:A市(人口約6万)の全小・中学校(15校)であった。3.基本的方法:基盤研究C(課題番号:20530860)で開発した方法論に「教師のための問題解決10ステップ」を組み込んだものを適用した。(1)不登校発現予防対策:(1)不登校対策冊子の配布:対策内容をまとめた冊子「H市不登校対策パンフレット」を全市教職員約300名に配布した。(2)研修講演の実施:A市教育委員会主催の年度当初(4月~6月)の5つの研修会で研究代表者が研修講師として「教師のための問題解決10ステップ」の説明、成功例に関する情報提供を実施した。(3)研究協力校及び教育委員会訪問相談:研究代表者が全研究協力校訪問、教育委員会訪問を実施し相談会を実施した。(2)再登校支援:研究代表者が、適応指導教室相談員へ事例対応に関して随時助言した。(3)評価:欠席対応確認のために教員アンケートを年3回実施した。4.結果:(1)対策実施状況:平成24年3月時点において、昨年度と比較して実施率は大きく向上したが、小学校における実施率が中学校より低かった。(2)不登校数(平成24年3月時点):対策開始時の小・中学校の不登校及び不登校傾向児童生徒数は、それぞれ35人、103人であった。対策実施後の不登校児童生徒数は、それぞれ9人、23人となり、他は別室登校、教室復帰状態となった。5.研究成果と意義:本方法論が、市単位の不登校減少に対して有効であることが示された。特に対策実施初年度における70%強の減少率は、先行研究と比較し優れた効果であるといえる。実証的に検討された本不登校対策は、研究上の独創性と不登校問題解消という社会貢献面で大きな意義があったといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の目的は、3年間でA市全体で不登校数を80%減少できる不登校発現予防・減少対策の開発である。研究実施1年終了時点においては、対策開始前不登校数の約70%減少の好結果を得ることができた。これは、基盤研究C(課題番号:20530860)で開発した3年間で約50%の不登校を減少させた実績のある市単位の不登校対策実施初年度の前年比不登校数約20%減少の実績をはるかに上回る結果であった。 また、現時点において、再登校支援中の事例が多数あり、本年度内の再登校達成の可能性が高いと考えられる。さらに来年度以降は、不登校発現予防対策である「教師のための問題解決10ステップ」のA市教育現場への浸透が強まることが予想される。これらのことから、A市において、来年度以降、再登校事例増加、不登校発現率の低下が予測される。したがって、平成24年度以降も不登校数の減少が予測されることから、現時点における達成度は計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
1.基本的研究推進方策:平成24年度は、平成23年度に開発した市単位の系統的不登校発現予防・減少対策をA市の不登校対策研究協力校15校に適用する。不登校発現予防、再登校支援、再発防止支援の各目標に対して、代表的事例のアセスメントによる対策立案、PDCAの考え方に基づいた対策を実施する。新しい問題が生じた場合は、アセスメント着眼点を追加し新対策を開発する。立案した対策遂行のため研究代表者は、教育委員会主催の教員研修講演、学校訪問によるコンサルテーションを実施する(年10回予定)。再登校支援は、研究代表者が支援希望事例に関して小野(2006)を基に個別支援計画を作成し支援する。効果評価は、市の全小・中学校の月毎の不登校数等を基に支援介入期との関連で検討する(年アンケート3回実施)。平成24年度の達成目標は、小・中学校不登校前年度比30%減とする。 また、A市教員の不登校支援をサポートするツール、参考書として「教師の不登校支援ソフト(仮)」(風間書房から9月刊行予定)、不登校に対する校長対応モデル校(M中学校)の対応知見等を基にした「校長サポートシリーズ Q&A不登校対応に困ったときに開く本(仮)」(教育開発研究所から9月刊行予定)を作成する予定である。さらに不登校予防予備研究として、学校単位の歩数計導入と総欠席数の関連検討(W小学校)を実施する。2.年間計画 2012年4月~6月期:研究代表者が、通年実施対策を事例アセスメントにより立案し、校長、生活指導主事、特別支援教育の研修会(4回)で講演する。6月~8月末期:研究代表者の個別支援、学校コンサルテーションを開始する。9月~12月期:実施中の対策の効果をアンケート結果から検討し必要があれば修正する。2013年1月~3月期:調査アンケート及び学校訪問の結果から不登校対策を総括し、次年度の課題と対策を明確化する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.物品費:歩数計(イーウォーキーライフ コナミスポーツ)(100個×@2,3千円)230千円 2.旅費:研究及び打ち合わせ旅費:宮崎-東京1人×10回×50千円(1泊2日) 500千円 3.謝金等:研究補助資料整理謝金:2人×60時間×@0.8千円 96千円 4.その他:研究成果投稿費:20千円,学会発表用ポスター印刷代:54千円 合計74千円 5.総合計 900千円
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