研究課題/領域番号 |
23531264
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研究機関 | 新潟青陵大学 |
研究代表者 |
岩崎 保之 新潟青陵大学, 看護福祉心理学部, 教授 (60410247)
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キーワード | キャリア教育 / 総合的な学習の時間 / 職場体験活動 / 就業体験活動 / 探究的な学習 / 協同的な学習 / 言語活動 / ファシリテーション |
研究概要 |
[具体的内容] 第一に、昨年度実施した中学校の教員を対象とする質問紙調査について、統計学的に分析した結果を学会報告するとともに、新潟県内全ての中学校に調査報告書を送付した。 第二に、中学校「職場体験活動」を評価する際の評価尺度を生成するための基礎データを収集することを目的として、自記式質問紙法に基づく質問紙調査を実施するとともに、感想文の収集を行った。調査対象は「職場体験活動」を経験した新潟県内の中学生約900人であり、質問紙には、新潟県立教育センターにおいて生成したキャリア発達尺度を参考にして、5件法に基づく16の設問を掲載した。得られた質問紙の回答や感想文の自由記述は、全てコンピュータに入力した。 第三に、中学校「総合的な学習の時間」の授業を参与観察するとともに、職場体験活動や就業体験活動といった体験的活動を整理・分析する授業場面での協同的な振り返りを促進する指導方法を開発することを目的として、ファシリテーション・グラフィック法の実践的研究に取り組んだ。 [意義・重要性] 二つの質問紙調査の分析からは、探究課題を学年全体やグループ等で協同的に設定したり、体験活動後の評価を充実させたりすると生徒の成長が認められやすくなることや、調査対象の生徒が概ね肯定的なキャリア意識を形成していることが明らかになった。実践的研究からは、生徒が模造紙を介して積極的に会話をしたり、発言を書きあったりする姿を観察することを通して、ファシリテーション・グラフィック法が「総合的な学習の時間」における言語活動の充実や協同的な学びに資する指導法であり、促進理論の授業化にも貢献し得る指導法であることの可能性を見出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した「研究の目的」には「中学校・高等学校『総合的な学習の時間』における体験型キャリア教育(職場体験活動、就業体験活動)を研究対象とし、体験型キャリア教育が『総合的な学習の時間』の趣旨に則って効果的に実施されるよう、その促進理論を生成すること」と記載されている。また、「研究計画・方法」には、(1)文献調査、(2)教育課程の調査、(3)質問紙調査、(4)面接調査、(5)参与観察、(6)構築した諸理論の発信が予定されている。 現在まで、(1)から(3)及び(5)と(6)の一部を実施してきている。しかしながら、(4)は未着手である。促進理論を生成する際のエヴィデンス・ベイストなデータは得られたけれども、促進理論を授業実践で検証するナラティヴ・ベイストなデータは得られていないのが現在の進展状況である。 また、研究の過程において、(3)質問紙調査の結果から得られた「協同的な言語活動」を促進する具体的な指導法としてファシリテーション・グラフィック法に注目し、その開発的研究に着手し始めてきている。 以上の諸点から、現在までの達成度を「おおむね順調に進展している」と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
質問紙調査を中心に生成してきた促進理論を、授業実践を通して検証するとともに、研究成果を発信する。 第一に、昨年度中に収集した生徒の自由記述をテキスト・マイニングの手法で分析することを通して、「職場体験活動」を評価する際の評価尺度を生成する。 第二に、体験型キャリア教育を「総合的な学習の時間」に位置づけ成果を上げている中学校・高等学校の教員及び管理職を対象に面接調査を行って、質的統合法による分析に基づいて促進理論との対応関係を明らかにすることを通して、生成した促進理論の有効性を検証する。 第三に、探究課題を設定したり、体験的活動を振り返ったりする際の指導法として注目しているファシリテーション・グラフィック法を、体験型キャリア教育の単元に位置づけた実践を中学校に依頼し、授業者や生徒に感想を聴取することを通して、促進理論を授業化する際の取組ポイントを抽出したり、モデルを作成したりする。 第四に、これまでの研究成果を学会報告したり、報告書にまとめたりすることを通して、広く社会・国民に発信する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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