研究課題/領域番号 |
23531270
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研究機関 | 京都女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
山野 てるひ 京都女子大学短期大学部, 初等教育学科, 教授 (70168631)
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研究分担者 |
岡林 典子 京都女子大学短期大学部, 初等教育学科, 教授 (30331672)
ガハプカ 奈美 京都女子大学短期大学部, 初等教育学科, 准教授 (80413334)
鷹木 朗 京都女子大学, 発達教育学部, 非常勤講師 (90617797)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 表現教育 / 幼保小連携 / カリキュラム |
研究概要 |
本研究の目的は、保育士・教員養成課程において学ぶ学生が「表現教育」を指導できる資質と能力を獲得するカリキュラムを構築し、さらに「表現教育」における幼小教育の一貫性をもった総合的プログラムを提案することである。当該年度における成果はおおよそ下記の4点であり、その成果の一部は学会等で公表した。1.全国の幼稚園教員・保育士養成課程をもつ大学、短大の領域表現科目のシラバス収集と整理を行った。その結果約20%の大学が総合的な表現教育の実践に取り組んでおり、ここ数年間で養成課程に芸術領域を総合化する科目の設置や内容改善が急速に進んではいるが、まだ十分ではない状況が明らかになった。2.表現活動の基盤となる身体感覚を耕す呼吸法に着目し、その先鋭的な研究と教授を行っているベルリンのミッデンドルフ学校を視察した。柱となる内容が(1)吐く息の発生 の連動、(2)吐く息と身体の連関、(3)身体のあり方と感じ方の3点であることを確認した。3.姫路市造形教育研究会において姫路市立幼稚園教諭30数名を対象に教育実践研修を行い、開発した絵本を題材とする教育プログラムを試行した。参加者の反応やアンケート調査から、領域表現に関する意識改革や表現と鑑賞を一体とする体験学習として絵本の題材が有効であるという一定の評価が得られた。その評価を踏まえ、表現教育プログラムに有効な絵本の題材研究に着手し、2000年以降に出版された絵本を中心に収集、教材価値を精査して約74点の絵本題材リストを作成した。4.宝塚市立西山幼稚園と研究連携し、領域「表現」を核とした保育実践力を向上させるプログラムを4歳児クラスにおいて5回に渡り試行実践した。教育評価から子どもの興味、関心を強く喚起することが確認できた。上記研究によって得られた知見から開発した表現教育のプログラムを共有し検証するために、テキストとして纏めつつあり、既に7割は執筆を終えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度研究計画は主として1)現在の教員養成系大学、短大における表現教育の教育課程の現状を全国的、客観的に把握し、どのような内容と方法が実践されているか、総合性と教育の接続や連続性についてその問題点を検討する。また、2)感性教育の今日的な意味と表現教育の関連を明らかにするために文献研究を行う。3)これまでの研究から課題として浮上している呼吸と運動、感性、思考の関連についてドイツで調査を行い研修する。4)実際の保育現場との連携研究を続け、過去3年間に開発したプログラムを適応したものをフィードバックによって修正し、5)テキストにまとめて出版すること、などである。1)については収集整理は完了したが、詳細な内容については把握できないこともあり、分析と問題の抽出は24年度の継続課題となっている。2)の文献研究がやや遅れているため、5)のテキストに纏める執筆作業が約7割程度の進行に留まり、脱稿が24年7月中旬頃となっている。3)と4)に関しては問題を各々調査や施行実践から問題や方法を明確にし、保育士養成協議会大会や学会等で成果の一部を公表した。さらにプログラム作成のの具体的な題材を提案して題材集を編集するなどの成果をあげている。
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今後の研究の推進方策 |
23年度の研究方法を継続しながら、小学校教育との接続のあり方に力点を移してゆく。短期的な研究成果をまとめ、学会発表などで吟味してゆくことで課題を焦点化することに努める。具体的な研究計画は下記の通りである。1)小学校表現関連教科、国語科、音楽科、図画工作科の教科書調査と分析を行い、同時に合科的科目生活科と総合的学習の時間の現状調査も行う。2)呼吸法と運動、空間認識の連関にかかる研究を継続発展させる。3)作成した絵本リストをもとにした表現プログラムを授業実践をとおして開発する。4)昨年度より執筆している研究成果のまとめとしてのテキストを完成させ出版する。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度の研究計画を遂行するための研究費の使用は1)小学校表現関連教科、国語科、音楽科、図画工作科の教科書調査と分析に係る経費(文献、資料購入費の必要性)、合科的科目生活科と総合的学習の時間の現状調査に係る経費(研究旅費の必要性)。 2)呼吸法と運動、空間認識の連関の研究に係る経費(研究旅費の必要性)。 3)絵本を題材とした表現プログラム開発のための実践と授業アンケート調査に係る経費(絵本購入費と人件費の必要性)。 4)短期的な研究成果の発表にかかる経費として、全国保育士養成協議会第51回大会発表(予定)、第28回実践美術教育学会発表(予定)、第35回美術科教育学会大会発表(予定)(研究旅費の必要性)等である。
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