研究課題/領域番号 |
23531270
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
山野 てるひ 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (70168631)
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研究分担者 |
岡林 典子 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (30331672)
ガハプカ 奈美 京都女子大学, 発達教育学部, 准教授 (80413334)
鷹木 朗 京都造形芸術大学, 芸術学部, 准教授 (90617797)
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キーワード | 表現教育 / 感性教育 / 幼小の学びの系統性 / 保育者・教員養成課程カリキュラム開発 / 呼吸法 / ドイツ |
研究概要 |
25年度の研究実績は大きく 1,幼稚園における幼小の系統性をもつ表現教育教材開発のための研究保育の年間計画実施、2,表現教育のプログラムの基礎的な方法として、身体感覚を開放し向上させる呼吸法の実践研究の二点である。 1,幼年期から学童期の表現の発達の連続性、接続性を円滑に実現する教材として絵本を位置づけ、その系統化と体系化を試み、有効な教育方法を探った。 24年度に行った2度のプレ実践の考察をもとに、兵庫県宝塚市立西山幼稚園の年少・年長児の年間保育計画の中に上記の教材開発のための研究保育を組み入れ、担任教諭らとともに指導案を作成して実施した。子ども達の活動の記録の考察から、これらの教材の有効性と小学校音楽科、図画工作科、国語科等の教科の内容への繋がりを示唆することができたが、小学校の表現系教科の内容の更なる分析の必要性が課題となった。その成果は26年5月18日、日本保育学会第67回大会で発表の予定である。 2,教員養成課程の表現系科目におけるカリキュラムの核の一つに呼吸法による身体感覚の刷新の研究を置いている。Ilse Middendorf(イルゼ・ミッデンドルフ)〔独〕の呼吸法をもとに、ドイツと日本の文化的歴史的背景の相違を考慮しながら、表現エクササイズのプログラムを独自に作成した。そしてそのプログラムを保育者、音楽教諭、芸術経験者、一般、の対象グループに分けて計7回、指導者研修や講習会として実施した。それらの実践の分析から表現教育に有効な呼吸法のプログラムを組織するための基本要素として、呼吸の「5つの空間」と呼吸の操作のために「4つの段階」があるとの知見を得た。 開発したプログラムの一部を依頼により、26年3月2日第8回「感覚をつないでひらく芸術教育を考える会」(会場:兵庫教育大学神戸ハーバーランドキャンパス)において研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の6項目の達成目標のうち4項目については概ね達成しているが、下記の2項目は課題を残しており、次年度も継続して取り組みたいと考える。 1,身体感覚を耕す呼吸法や音声、言語、全身運動と空間性の研究は20世紀初頭の新たな造形教育の方法論との関係や現代のドイツの初等教育における芸術教育との比較から具体的教育方法を提案できると期待している。 2,表現教育の幼保小の円滑な接続と、一貫性、連続性を保障する総合的な表現プログラムの開発について、幼稚園と小学校の双方て研究授業を実践し検証する計画であるが、小学校教育におけるプログラム作成と実践校選定にやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は遅れている小学校における表現教育プログラム開発に取り組む。また昨年度の年間研究保育の考察と総括のうえに幼保小の滑らかな接続を実現する教材の体系化を行う。そして研究目的である保育者・教員養成課程における「表現」科目の新たなカリキュラムを研究報告集としてまとめる。 26年度に延長して請求した研究費859,955円は研究報告発行に係る編集・印刷費、および学会発表旅費にあてる計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究の6項目の達成目標は概ね進展しているが、〔現在までの達成度〕の項目欄で自己評価した2点の研究課題を達成のうえで総括を行い、研究報告集にまとめ、発行する計画である。 ・研究成果発表に係る学会発表旅費 ・研究報告集発行に係る編集費及び印刷費、郵送費
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