研究課題/領域番号 |
23531273
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
名古屋 恒彦 岩手大学, 教育学部, 教授 (10320730)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 領域・教科を合わせた指導 |
研究概要 |
領域・教科を合わせた指導を教育課程上に大きく位置づける知的障害特別支援学校3校を、それぞれ年1~2回訪問し、授業研究を実施した。7件の対象授業について、指導計画、重複障害のある31人の対象生徒の個別計画、授業記録を収集した。それらの資料からデータを整理し、単元目標(13件)、全体計画(活動)(46件)、全体計画(場・道具等)(35件)、全体計画(教師の支援)(15件)、個別計画(様子)(67件)、個別計画(目標)(42件)、個別計画(手立て)(90件)、記録(16件)について、「TRUSTIA/R.2」(ジャストシステム)を用いて、テキストマイニングにより分析を行った。分析は、属性の検討、主題分類、傾向把握、表現抽出などを行った。その結果を本研究で設定した「重複障害者に対する実態把握」(観点1)、「重複障害者に対する目標設定」(観点2)、「重複障害者に対する支援の手立て」(観点3)、「授業を通じての重複障害者への効果と課題」(観点4)の4つの観点から以下を考察した。「重複障害者に対する実態把握」については、障害名や障害特性に関する記述は見られなかったことが特徴的であった。「重複障害者に対する目標設定」では例えば、「動き」というような語句から、実態把握に対応した動作や活動による表現が見られた。目標では、その意図として主体的な活動を示す語句が多くあげられていた。こまた「一緒」「分担」などの語句から、目標の意図としては、共同性も特質としてあげられた。「重複障害者に対する支援の手立て」については、全体計画では「分かる」「視覚的」「見通し」などの語句に、見通しを持って取り組めるための手立てという記述が見られた。「授業を通じての重複障害者への効果と課題」では、授業における手立ての評価視点として、「見通し」「やる気」「意志」といった主体性に通じる形容詞句があげられていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に予定した調査、資料収集についてはほぼ予定通り行うことができた。これは、予定していた3校の研究対象校の全面的な協力によって実現したことである。研究の内容に関する達成度は、重複障害者の領域・教科を合わせた指導の実践研究という側面と研究方法であるテキストマイニングの効果の側面、いずれにおいても成果をあげることができた。具体的には、実践研究という側面では、授業の指導計画や個別計画、記録などを分析することにより、重複障害のある生徒に対する、単元目標、全体計画(活動)、全体計画(場・道具等)、全体計画(教師の支援)、個別計画(様子)、個別計画(目標)、個別計画(手立て)、記録、のいずれについても一定の特質を明らかにすることができた。このことは、実践研究の成果であると共に、テキストマイニングが、これらの資料にも適用可能であることを示すものであった。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究が、当初の計画通りに遂行されていることを踏まえ、平成24年度以降も、研究計画の変更は行わない予定である。3校の研究対象校において、平成23年度と同様に、訪問及び資料収集を行い、データを整理した上でテキストマイニングによる検討を行う。加えて平成23年度には、事例対象児の協力を得ながら、事例研究も行う。そうすることにより、より詳細な授業研究を事例的に行うことが期待できる。現在、事例対象児は2人を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度においては、当初計画通り、研究対象校3校を訪問するための旅費、及び消耗品として用紙購入のための経費の支出を予定している。
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