研究課題/領域番号 |
23531275
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
川間 健之介 筑波大学, 人間系, 教授 (20195142)
|
キーワード | 重度・重複障害児 / 特別支援学校 / 社会参加 |
研究概要 |
今年度は、主に、研究IIのデータ収集と分析、研究IIIの分析、研究IV-Iのデータ収集と分析を行った。 研究II「重度・重複障害児の学校外の社会参加に対する保護者の捉えに関する研究-GTAを用いた保護者の面接調査の分析-」について、保護者が子どもにとっての社会参加をどのように捉え、実行してきたのかというプロセスを明らかにするために、特別支援学校に在籍する重度・重複障害児の保護者8名にインタビュー調査を行った。現在修正版グラウンデッドセオリーアプローチを用いて分析中である。 研究III「重度・重複障害児の学校外の社会参加に関わる肢体不自由特別支援学校の役割-保護者と教師の自由記述回答の分析-」について、研究Iにおいて回答のあった保護者と担任教師の自由記述部分を対象に、保護者については①学校が子どもの社会参加に対して果たしている役割,②子どもの社会参加に対して学校に求めている役割、教師については①学校が子どもの社会参加に対して果たすべき役割、②子どもの社会参加に関して現在行っている取り組みや工夫、をテキストマイニングを用いて分析中である。 研究IV「重度・重複障害児における在学中の社会参加の機会拡大に関わる学校の活動についての実態調査」については、全国の肢体不自由特別支援学校より回等を得、現在、社会参加の機会と捉えられる教育内容の実施状況、具体的な内容やその際の工夫等について集計を行っている。 研究V「重度・重複障害児における卒後を含めた社会参加促進のための教育内容に関する教師の意識」は、肢体不自由特別支援学校の重複学級における日常的な指導のプロセスを明らかにし、子どもの社会参加にとって果たし得る特別支援学校の役割について探索することを目的としている。現在、調査協力を得られる重度・重複障害児を担当する教師(10数名程度)の依頼方法等について検討中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題は、研究I~Vで構成されている。以下、それぞれの研究の進捗状況について述べる。 研究I「重度・重複障害児の学校外の社会参加の現状と関連する要因の検討」は、学会誌に掲載済であり、重度・重複障害児の社会参加について、概ねその多様な実態を把握できたと考える。こうした調査は今まで行われておらず、そうした点からも意義ある結果であると考える。 研究II「重度・重複障害児の学校外の社会参加に対する保護者の捉えに関する研究-GTAを用いた保護者の面接調査の分析-」及び研究IV「重度・重複障害児における在学中の社会参加の機会拡大に関わる学校の活動についての実態調査」については、データ収集が終わり分析中である。 研究III「重度・重複障害児の学校外の社会参加に関わる肢体不自由特別支援学校の役割-保護者と教師の自由記述回答の分析-」については、データ収集が終わり分析中であるが、その結果の一部については学会発表を行った。 研究V「重度・重複障害児における卒後を含めた社会参加促進のための教育内容に関する教師の意識」は研究計画は立案されているが未実施である。
|
今後の研究の推進方策 |
研究II「重度・重複障害児の学校外の社会参加に対する保護者の捉えに関する研究-GTAを用いた保護者の面接調査の分析-」、研究III「重度・重複障害児の学校外の社会参加に関わる肢体不自由特別支援学校の役割-保護者と教師の自由記述回答の分析-」及び研究IV「重度・重複障害児における在学中の社会参加の機会拡大に関わる学校の活動についての実態調査」については、学会発表及び論文投稿予定である。 研究V「重度・重複障害児における卒後を含めた社会参加促進のための教育内容に関する教師の意識」については早急にデータ収集を開始したい。 これらの諸研究の結果がまとまりつつある段階で、全体的な考察を行い、年度内に報告書の完成を目指したい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
物品費200,000円、旅費200,000円、人件費・謝金150,000円、その他445,511円の支出を予定している。物品費、人件費・謝金はデータ収集がほぼ終わることから前年度より減る予定である。旅費も成果発表やデータ収集のためであるが、これも前年度より減っている。その他の支出が大きいのは、成果報告書の印刷のためである。
|