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2012 年度 実施状況報告書

RTIモデルによる漢字の読み書き学習支援に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23531278
研究機関東京学芸大学

研究代表者

小池 敏英  東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50192571)

キーワード学習障害 / ディスレクシア / 読み書き支援 / 特別支援教育 / RTIモデル
研究概要

平成19年度より特別支援教育の実施に伴い、特に「読む」「書く」に著しい困難を示す子どもに対する教育支援方法の整備が必要とされており、学習障害児(LD児)の認知特性に合わせた支援方法の研究がなされてきている。一方、学習障害という診断が確定する段階において、読み書きに困難を示す子どもがおり、これらの子どもに対する支援を含めて学習障害の支援を提供するという指導モデルがRTIモデルとして提案され、一斉指導における学習書具合の支援の必要性が指摘されている。
本研究では、RTIモデルによる早期予防的支援の観点から、通常クラスの一斉指導と個別指導で利用可能な支援教材と支援方法に関する研究を行うことを目的とした。平成23年度では、小学校低学年の通常学級児童における漢字読み書きの低成績に関して、実態調査を行い、読み書きの低成績の発生に関与する要因を検討した。その結果、ひらがな音読、特殊音節表記の読み書き、言語性短期記憶の3つの要因がリスク要因として関与していることを明らかにした。平成24年度では、読み書きの低成績の発生に関与する要因に対応した教材を開発し、通常学級での利用に基づいて、その効果の検証を行った。漢字の読み書き支援教材を使った学校の子どもと、読み書き支援教材を使わなかった学校の子どもを比較した結果、読み書き支援教材を利用した学校では、漢字の読みの低成績を示す子どもの数が少なかった。これより、支援教材は、低成績の発生に対して効果を有する可能性を指摘できる。平成25年度には、近赤外線分光法による前頭前野の脳活動計測を通して、効果の背景について検討を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

RTIモデルに基づく読み書きの早期予防的支援に関する研究では、小学校通常学級に対して、一斉実施することのできる支援教材を提供することが必要である。本年度は、小学校30校の小学2年生2500名に対してホームワークとして、漢字の読み書き支援プリント教材を提供し、その効果の検証を行った。ホームワークを提供する段階に先立って、漢字の読み書きのプレテストを行い、ホームワークを利用している期間において、途中テストとポストテストを行った。プレテスト、途中テスト、ポストテストを行うことによって、支援教材の効果の発現の特徴を、小学2年生について分析することができる。現在、これに基づいて分析を行っているため、「おおむね順調に進展している」と評価した。

今後の研究の推進方策

平成23年度では、小学校低学年の通常学級児童における漢字読み書きの低成績に関して、実態調査を行い、読み書きの低成績の発生に関与する要因を検討した。その結果、ひらがな音読、特殊音節表記の読み書き、言語性短期記憶の3つの要因がリスク要因として関与していることを明らかにした。平成24年度では、読み書きの低成績の発生に関与する要因に対応した教材を開発し、通常学級での利用に基づいて、その効果の検証を行った。その結果、特に低成績児童において、読み書き支援プリントが効果的であることを指摘できた。平成25年度においては、読み書きの低成績を示す児童、ディスレクシア児童を対象として、読み書き支援プリント実施時におけるNIRS測定を行い、支援教材の効果の発現を、前頭前野の活動の改善との関連で検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度においては、読み書きの支援教材実施した際の小学生を対象として、NIRS測定を行う。研究費の使用に関しては、読み書きの支援教材の作成費用(印刷・配送)、データ入力の謝金、データ分析の謝金、測定参加者への謝金を計画している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 通常学級のホームワークによる漢字読字・書字の学習支援に関する研究―小学2年生を対象とした検討―2012

    • 著者名/発表者名
      徐欣薇・藤井温子・吉田有里・牧野雄太・小池敏英・太田裕子
    • 雑誌名

      特殊教育学研究

      巻: 50 ページ: 115‐128

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 一斉指導で利用可能なひらがな単語読みの評価に関する研究-ひらがな単語連鎖課題による検討-2012

    • 著者名/発表者名
      藤井温子・吉田有里・徐欣薇・岡野ゆう子・小池敏英・雲井未歓
    • 雑誌名

      特殊教育学研究.

      巻: 50 ページ: 21-30

    • 査読あり
  • [学会発表] 小学2年生における読み書き困難の実態把握と学習支援に関する研究(1)-学習スキルとの関係について-2012

    • 著者名/発表者名
      吉田有里・小池敏英・徐欣薇・藤井温子・牧野雄太・太田裕子
    • 学会等名
      日本LD学会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県)
    • 年月日
      20121006-20121008
  • [学会発表] 小学2年生における読み書き困難の実態把握と学習支援に関する研究(2)-漢字学習の一斉型支援の効果に関する研究-2012

    • 著者名/発表者名
      熊澤綾・中知華穂・吉田有里・小池敏英
    • 学会等名
      日本LD学会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県)
    • 年月日
      20121006-20121008
  • [学会発表] 小学2年生における読み書き困難の実態把握と学習支援に関する研究(3)-認知スキル・学習支援スキルとの関係について-2012

    • 著者名/発表者名
      小池敏英・中知華穂・熊澤綾・吉田有里・雲井未歓
    • 学会等名
      日本LD学会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県)
    • 年月日
      20121006-20121008

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公開日: 2014-07-24  

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