研究課題/領域番号 |
23531279
|
研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
大伴 潔 東京学芸大学, 教育実践研究支援センター, 教授 (30213789)
|
キーワード | 特別支援教育 / 学齢児 / 言語発達 / コミュニケーション / アセスメント / 指導目標の設定 / プロフィール化 / 言語指導 |
研究概要 |
25年度は、幼児期から学齢期にかけての言語・コミュニケーションスキルの変化を縦断的に追跡するための幼児期データの収集を昨年度に引き続き実施した。幼児期にLCスケールを用いて言語評価を行った4歳児8名が小学校1年生に、5歳児7名が2年生にに達したため、LCSA学齢版言語コミュニケーション発達スケールによる再評価を実施した。 さらに、通常学級に在籍する児童で、言語・コミュニケーション面での支援を要する児童の実態を探るために、24年度に作成した「学級での行動チェックリスト」を言語障害通級指導教室で指導を受けている児童(現時点までで計22名)に対して実施した。本チェックリストは、「ことばや状況の理解」「ことばによる表現」「読み」「作文」「授業での様子」「行動面の様子など」6領域について、27の評価項目を設けており、児童の学級や生活面でのニーズを把握するために今後も活用する予定である。さらに、これらの児童の言語面の特徴をLCSAを用いてプロフィール化した。これらのデータについて、WISC-IIIなどの知能検査の結果と併せて相互の関連性について検討したところ、チェックリストから明らかになった児童の行動・学習面の課題には個人差が大きく、また、チェックリストからのプロフィールと認知・言語面のプロフィールとは単純な対応関係にはなく、いくつかのサブタイプに分けられることが示唆された。26年度も通級指導を受ける児童の評価情報を統合していく計画である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
幼児期からの縦断的検討のためのデータを収集することができ、さらに、通常学級に在籍する児童で、言語・コミュニケーション面での支援を要する児童の実態を探るために、「学級での行動チェックリスト」を作成し、これまでに22名に試行することができた。また、支援方法の体系化のための海外における支援法情報の収集からは、最近は、文脈を活用した言語指導が幼児期、学齢期ともに注目されつつあることが明らかになった。26年度は指導研究や指導法に関する情報をさらに収集し、それらに基づく支援方法の体系化にも取り組みたい。
|
今後の研究の推進方策 |
26年度も、縦断データの収集を行い、特に学齢期に達した児童の学齢期の言語・コミュニケーションの状況について評価情報を蓄積していく。また、通級指導教室の担当者と連携し、言語・コミュニケーション面での支援を要する児童の実態を探るために作成した「学級での行動チェックリスト」を通級利用児童に適用するとともに、当該児童の言語・コミュニケーションのアセスメントを実施し、学級での実態とアセスメント情報との関連性について検討を深めていく。さらに、支援方法の体系化のための海外における支援法情報を収集し、アセスメント結果から支援方策への流れを検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
日本発達心理学会第26回大会(京都大学)2015年3月20日(金)~ 22日(日)にて成果発表を行ったが、その分の旅費・大会参加費等の支出が4月になったことと、研究資料の購入も4月にずれ込んだために次年度使用額が生じた。 平成25年度分は、26年4月末までに上記に述べた支出で使い切っている。26年度分は計画通りの支出となる見込みである。
|