研究課題/領域番号 |
23531280
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
小笠原 恵 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90345322)
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キーワード | 発達障害児 / 行動問題 / アセスメント |
研究概要 |
本研究では、自傷・他害・物を壊すなど、さまざまな行動問題を示す発達障害児に対する効果的な支援計画を導き出すためのパッケージを開発する。専門家ではなく通常その子どもにかかわる支援者(教員、福祉施設職員、家族など)が実施するといった視点から、その有効性を検討することを目的としている。具体的には、以下の手続きを踏むこととした。1.行動問題が起こりやすい環境の明確化、2.効果的な支援計画を導き出すためのアセスメントパッケージの開発、3.複数事例に対するパッケージを用いた支援計画の立案と実施及び評価。 24年度は、① 23年度に行った特別支援学校を対象としたアンケートの分析を行い、行動問題と関連する22の要素を抽出した。さらに、3名の支援を行った事例について、その妥当性・信頼性について検討した。アンケート結果については、学会誌に投稿中である。また、事例に対する支援については、学会発表の予定である。② 23年度に立ち上げたホームページの充実を図った。行動問題に対する支援事例を加え、さらに指導技法についてのVTRを追加した。③ 特別支援学校において、行動問題を示す自閉症児3名に関連する支援を継続した。さらに、児童施設においても2名の自閉症児に対する支援を行った。また、福祉作業所で1カ月に1回の定期的な行動問題を示す対象者の事例検討会を行っている。また、放課後支援を行っている2箇所のNPO法人において、定期的な事例検討会を行っている。 日常生活でかかわる支援者が、効果的な支援計画を導き出すためのアセスメントパッケージを実際に用いることと、さらにその効果と課題について検証することが今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特別支援学校を対象とした、行動問題の起こりやすい環境に関連するアンケート結果の分析を終了し、その結果に基づいた事例研究も行った。事例については、支援を継続中である。結果に基づいたアセスメントパッケージを用いて、支援者が効果的な支援計画を立案し、実行することにおける効果と課題について検証することが今後の課題である。 立ち上げたホームページの実践例をさらに充実させることが必要である。 行動問題に関連する論文が紀要に1本、学術雑誌に1本掲載され、さらに1本が印刷中である。現在学術雑誌に3本投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
①教員を対象とした研修会を行い、作成したアセスメントパッケージを用いた支援計画の立案についてその効果を検証する。さらに、研修会後のフォローアップを行うことで効果と課題について検討する。 ②行動問題を示す発達障害児に対する日常場面での支援を継続する。子供の行動変容と支援者からの評価により、その効果を明らかにする。療育と連携した家庭での実践は4ケース程度、児童福祉施設等における実践は3ケース程度、特別支援学校における支援は①以外に3ケース程度予定している。 ③ホームページおよび学会発表、学術論文への投稿を通して、成果の公表を行う。 ④最終年度に当たり、本研究のまとめを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
①研修会開催費用(参加者募集、資料代、謝金等) ②子供の支援の効果を検証するためのデータ収集・記録・分析用費用 ③成果を公表するための費用(ホームページおよび学会発表等)
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