研究課題/領域番号 |
23531285
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
川崎 聡大 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (00444654)
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研究分担者 |
武居 渡 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (70322112)
後藤 多可志 目白大学, 保健医療学部, 講師 (50584231)
若宮 英司 藍野大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20426654)
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キーワード | 学習障害 / 特別支援教育 / 発達障害 / 個別支援計画 |
研究概要 |
昨年度に引き続き学習到達度とそれに影響を及ぼす変数について縦断調査を行った。昨年度は調査二年目であり①帰結変数であるNRTの聴取(n=284)②昨年度検出した学習不振ハイリスク児に対する継続的介入③今後学校教育現場で聴取可能な「集団式直接検査」2課題(「仮)ことばと文」課題、「形覚え形写し」課題)を実施し、「読み」「書き」「語彙力」(STRAWおよび稲垣課題、SCTAW結果)に関する個別検査結果から集団式検査の妥当性と信頼性の検討を実施した。それぞれの成果として①については1年後の学習到達度の予測因子の検討を実施した(現論文投稿中)。特に本年度、横断的研究の段階であるが、基礎的学習スキルだけでなく「学習意欲」について尺度構成を行ったうえで変数として採用した。結果、共分散構造分析の結果、高学年児童に関しては学習意欲から学習到達度へのパスを確認し、学習意欲の中でも学習不安傾向から継続的学習へのパスを確認した。本知見は「発達障害と学習」を鑑みた上では認知機能障害が不安傾向へと影響し結果として二次障害を大きくする重大な仮説を示すものである。②については、全介入型モデルによる1年間施行の結果学習不振を今回(2教科中1教科以上で偏差値40以下)操作的に定義した場合、1年間で71名から44名へと有意に低減させることに成功した。これらは既存のRTIモデルとも異なり、さらに学習到達度改善につながる大きな成果となっている。今後、介入システムを体系化し検証を加えていく予定である。③については集団式による簡易スクリーニングキット開発に向けて妥当性信頼性を確保したのち、地方自治体と連携して全市全体調査(n=2500)へと拡大して実施中である。本調査は本邦初の発達障害に関する直接検査法による調査となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
学習到達度を帰結変数としたコホート研究は2年時一部の協力小学校の脱落はあったものの順調にデータ聴取が進んでいる。併せて介入モデルの検証もすすんでいる。本研究知見をもとに精査した「集団式スクリーニングテスト」の実施も、富山県内A市連携のもと実践的検証が進みつつある。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度であるため、コホート研究の部分ではすべての変数について聴取を予定している。さらに研究成果発表の実践と、介入システムの解析と新システムを新規学校へと適用したい。また本研究知見により確立された「学習障害スクリーニングシステム」についても検討を加える。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記調査のための検査及び解析費用、人件費、移動費および研究成果発表報告に関する経費としたい。
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