本研究は高機能自閉症幼児における情動理解・表出・調整とアタッチメントとの関連を検討した。その結果、以下の3点が明らかとなった。①高機能自閉症児者の情動理解には、情動の意識的処理と自動的処理の2つが存在し、自動的処理に障害特有の問題を持つこと。②高機能自閉症幼児は自己情動表出を弁別的に理解することは可能であること、しかしその表出様式は定型発達児と異なっていること、③高機能自閉症幼児の情動調整不全には、ネガティブな情動の調整不全だけでなくポジティブな情動の調整不全もありこれは障害特有の可能性があること、一方この情動調整不全はアタッチメント対象の形成により、次第に外的調整が可能になることが示された。
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