研究課題/領域番号 |
23531289
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
黒田 吉孝 滋賀大学, 教育学部, 教授 (40111885)
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研究分担者 |
大杉 成喜 熊本大学, 教育学部, 講師 (10332173)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 知的障害 / キャリア教育 / 携帯WEB活用 |
研究概要 |
1.コミュニティーサイトによる「学びの共同体」を新たに構築し、卒業生と高等部生徒による、携帯電話Webサイトの書き込みを促進するよう、これまでよりも、テーマを増やした。2.書き込みの内容について、特に、コミュニケーションが苦手とする自閉症生徒が、このコミュニティーサイトをどのように、利用しているのか、2名の生徒を取り上げ、分析をおこなった。比較生徒として、知的障害生徒2名を取り上げた。結果は、書き言葉という視覚的な媒介の有利さもあり、かつ、対象生徒が既知であること、そして、実習という同一の体験をおこなっていること、さらには、高等部において、系統的な情報教育の教育を受けていることから、このサイトに積極的に参加し、交流をおこなっていた。自閉症生徒の書き込み内容は、従来の研究で指摘されている、感情や心の記述が少ないとの結果と異なり、他者への配慮や自分の体験を踏まえたアドバイス等が確認された。キャリア教育における、peerトレーニングの有効性と学齢期における体験の重要性が示唆された。3.高等部在学中の生徒に対し、卒業後携帯電話を適正に使えるよう、在学中の生徒の、携帯電話使用に関わるトラブルを整理し、具体的な事例を提示し、その背景の理解と、どのように理解し、対応する必要があるのか、生徒が積極的に関われる授業を考え、実施した。また、トラブルの大きな原因になっている、「怒りの表現方法」について、アサーショントレーニングの手法を取り入れた学習をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度研究計画との関連で理由を述べることにする。1.移行支援携帯電話Webサイトを継続運営する。:在校生と卒業生による携帯電話電子掲示板を活用した就労移行支援を基本に、平成23年度も継続させた。学校での支援と連携し、かつ、書き込みの継続的な分析も可能にした。2.情報活用能力育成の授業を毎週、情報化の指針に基づいておこない、活用のための基礎学習を積む。:働くことの意義について理解を深め、積極的に作業や実習に取り組み、職場に必要な態度を身につけること、いろいろな道具や機械の仕組み、操作などを理解し、材料や製品の管理を適切におこない、安全や衛生に気をつけながら正確に効率よく作業や実習することを目標に授業案を考え、実践した。また、情報活用能力育成について、キャリア発達の視点から、授業案を検討し、実践した。特に、情報モラルの育成に関わって、適切なコミュニケーションの取り方について、自閉症生徒の実態を踏まえながら、授業をおこなった。3.移行支援携帯電話Webサイトでの書き込みエピソードを抽出し、質的分析により、移行支援につながったことを明らかにする。:高等部生徒の書き込みを実際分析し、学会発表と論文にまとめた。4.附属特別支援学校のNetCommonサーバを利用し、コミュニティーサイト構築の準備をおこなう。:サイトデザイン、コンテンツ作成等、附属特別支援学校教師との支援により構築を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
1.情報活用能力育成のための授業を情報化の指針に基づいて、継続する。2.コミュニティーサイト構築を継続し、その利用について、分析し、知的障害の人が使いやすい、サイトの構築を考える。3.書き込みの更なる分析を通して、サイトの有効性を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.システム接続用携帯電話通信費 250,000円2. 旅費 350,000円3.人件費・謝金 100,000円
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