研究課題/領域番号 |
23531289
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
黒田 吉孝 滋賀大学, 教育学部, 教授 (40111885)
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研究分担者 |
大杉 成喜 熊本大学, 教育学部, 講師 (10332173)
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キーワード | 知的障害 / キャリア教育 / 携帯WEB / 高等部生徒 |
研究概要 |
1.携帯Web掲示板サイトをサポートする教員が在校生と卒業生の書き込みに参加し、その結果としての書き込まれた内容を学校での座学での授業で取り上げたことにより、どのような変化が、例えば、働く意義についての理解が促進するか、明らかにしようとした。これまでは教師の関わりを可能な限り制限してきたが、意図的に教員が書き込むをおこなうことで、掲示板が活性化し、勤労観、職業観を培う上で、卒業生、在校生を問わず重要であることが分かった。 2.サーバーの発展形として、ネットコモンズ2へと移行したが、その成果を検討した。この形態では、セキュリティへの配慮ができ、スマートフォン対応であること、サイト構築が容易であることの利点がある。この形態への移行後、書き込み数が確実に増加した。予め登録しておいたメールアドレスに書き込み内容が通知される機能があることも増加の一因になっていた。 3.このサイトへの参加者が、どのようなメッセージを送り、どうのようなメッセージが返っているのか、どのような交流をおこなっているのか、経験を増すことで内容がどのように変化しているのか、検討した。メッセージ内容は働くことを中心に、生活と密着しており、励ましや助言もみられるようになった。自閉症の生徒も積極的に参加しており、2年間での経験がメッセージの内容にプラスの影響を与えていることが分かった。また、自閉症の生徒は、知的障害の生徒に比べると、個人間の違いも明確であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度研究計画との関連で理由を述べる。 1.情報活用能力育成のための授業を,情報化の指針に基づいて行う:昨年度と同様に、情報活用能力育成の授業を指針にしたがっておこなった。今年度は特に、実際におこなっている携帯WEBサイトのメッセージを取り上げ、具体的に学校の授業で支援をおこなった。また、働くことと関連させた授業を引き続きおこなった。 2.コミュニティサイト構築と利用。利用者の利用頻度や閲覧回数の多いコンテンツを分析し,より多くの成人期知的障害者が利用したくなるサイト構築を目指す:ネットコモンズネット2に移行し、参加者が使用しやすい仕組みにした。また、その成果を具体的に分析し、結果を公表した。 3.中間発表として学会での口頭発表・ポスター発表等を通じて,広く世に問い意見を求める。:成果を学会や論文として公表した。
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今後の研究の推進方策 |
25年度研究計画との関連で述べる。 1.サイトの構築を完成すること。 2.成人期知的障害者となった,本校卒業生等に対して,ポータルサイトの評価をしてもらい,どのようなコミサイトが求められるのか明らかにする。サイトを利用して何が良かったか,参考なったことは何か,仕事上のことで行き詰まったり困ったりしたときに,サイトがあることでたすけられたかどうか,サイトに書き込んで返事をもらうことが日常の楽しみとなっていたか,などを明らかにする。これは,サイト内にアンケートを設置したり,掲示板に教員が書き込みを行ったりすることで,容易に集計できると考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.物品費 616,173 物品は携帯Web使用料、ならびに、サイト維持費・構築費用・環 境整備費等に使用する予定である。 2.旅費 234,263 旅費は学会参加、調査・会議等に使用する予定である。 3.その他 231,244 その他は最終年報告書発行費等に使用する予定である。
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