研究課題/領域番号 |
23531297
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
大谷 博俊 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (60420551)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 教育学 / 特別支援教育 / 特別支援学校 / 進路指導 / 障害受容 |
研究概要 |
平成23年度は、徳島県において、進路指導担当者を対象とした進路指導困難生徒に関する調査及び担任を対象とした進路指導困難生徒に関する調査を実施した。またこれらの調査結果は、徳島県支援学校進路指導担当者連絡協議会で検討し、進路指導困難生徒に関する課題を共有すると共に、結果の分析を行った。進路指導担当者を対象とした進路指導困難生徒に関する調査は、研究推進担当者が特別支援学校進路指導担当者9名に進路指導困難生徒及び保護者が示す指導に関わる問題について個別に聴取した。その結果、就職を希望しているが、進路指導が困難である知的障害、あるいは発達障害を有する生徒に関する進路指導に関わる自己理解の実態を明らかにすることができた。また担任を対象とした進路指導困難生徒に関する調査は、特別支援学校高等部教員181名に進路指導困難生徒及び保護者が示す指導に関わる問題について質問紙調査を実施した。その結果、軽度・中度の知的障害のある生徒が困難を示す割合が高く、進路選択、進路決定、特性理解の指導に困難を有しており、この傾向は、生徒が就職を希望している場合に顕著であることが明らかになった。これらの研究結果は、特別支援学校に在籍する進路指導困難生徒に関する初めての知見であり、本邦では、小・中・高等学校に比して遅れの見られる特別支援学校におけるキャリア教育に有益な示唆を与えるものである。また、徳島県支援学校進路指導担当者連絡協議会における先の研究結果の共有と分析のための協働は、進路指導担当者間結びつきを強め、校種を越えた進路指導に関わる連携体制を前進させただけでなく、進路指導担当者の研修としても有用であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
徳島県支援学校進路指導担当者連絡協議会の構成員である徳島県内の特別支援学校の進路指導担当者と連携し、進路指導担当者を対象とした進路指導困難生徒に関する調査及び担任を対象とした進路指導困難生徒に関する調査を実施できた。また徳島県支援学校進路指導担当者連絡協議会において、調査結果の共有及び結果の分析ができている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、進路指導困難生徒の保護者の理解と支援を中心に研究を進める予定である。保護者理解のための講演会とワークショップについては、平成23年度の調査結果を受け、2名の連携研究者の協力を得ながら、キャリア教育に視点を定めて実施したいと考えている。また進路指導困難生徒の保護者への支援に視点をあて、担任への聞き取り調査を実施したい。そして、これまでの研究成果をまとめ、特別支援教育に関連する学会等で発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
講演会及びワークショップでは、キャリア教育に造詣の深い講師を招聘するため、謝金や旅費等が必要となる。また会の運営補助員も雇いたい。担任への聞き取り調査では、徳島県内の特別支援学校を訪問するため、データ収集のための旅費等が発生し、データ処理のための研究補助員への謝金も必要となる。さらに、研究成果を発表するためには学会への参加費及び旅費が必要である。
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