研究課題/領域番号 |
23531297
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
大谷 博俊 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (60420551)
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キーワード | 特別支援学校 / 知的障害者 / 進路指導困難事例 / 保護者の支援 |
研究概要 |
平成24年度は、徳島県において、(1)特別支援学校高等部に在籍する進路指導困難生徒の保護者に関する調査の実施、(2)保護者の理解と支援のための講演会・討論会を実施した。 特別支援学校高等部に在籍する進路指導困難生徒の保護者に関する調査については、特別支援学校高等部教員を対象としたアンケート調査及び個別聴取による面接調査を行った。また、特別支援学校高等部卒業者の保護者を対象とした個別聴取による面接調査を行った。 主な研究結果は、次の通りである。 アンケート調査の結果、(1)「消極性・無理解」、「養育の力」、「実情の認識不足」、「指導への抵抗」、「障害者制度への抵抗」の5因子が抽出され、進路指導における保護者に対する教員の意識には、複数の側面があることが示された。(2)全ての尺度において、進路指導困難生徒の指導経験の単純主効果が有意であり、対応の困難さが推察された。一方、学年が上がるにつれて、保護者に対する教員の意識には変化が見られた。 教員に対する面接調査の結果、(1)保護者の障害に対する認識は、両親の間で、必ずしも一致していないこと、(2)福祉制度の利用を前向きに受け止めることで心情に変化が見られることが示された。また、保護者に対する面接調査の結果、(1)進路指導に不全感があっても教員には伝えきれていないこと、(2)保護者同士の支え合いが重要であることが示された。これら全ての調査結果は、徳島県支援学校進路指導担当者連絡協議会で報告し、進路指導困難生徒に関する保護者に対する支援の在り方を共有した。 保護者の理解と支援のための講演会・討論会については、鳴門教育大学附属特別支援学校及び徳島県発達障害者支援センターと連携し、キャリア教育講座Wingの新堀氏並びにボーバル氏を講師として招聘し、実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
徳島県支援学校進路指導担当者連絡協議会の構成員である徳島県内の特別支援学校の進路指導担当者と連携し、特別支援学校高等部教員を対象とした進路指導困難生徒の保護者に関する調査が実施できた。これらの研究結果は、特別支援学校に在籍する進路指導困難生徒の保護者に関する初めての知見であり、特別支援学校の進路指導に有益な示唆を与えるものである。また、徳島県支援学校進路指導担当者連絡協議会における先の研究結果の共有と分析のための協働は、進路指導担当者間結びつきを強め、校種を越えた進路指導に関わる連携体制を前進させただけでなく、進路指導担当者の研修としても有用であった。 保護者の理解と支援のための講演会・討論会については、幼、小、中、高、特別支援学校の教員や発達相談の専門家などが多数参加しており、保護者の心情の理解と支援の在り方について、有益な示唆を提供することができ、今後の進路指導の伸展に寄与するものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、進路指導困難生徒の理解と支援を中心に研究を進める予定である。特別支援学校高等部教員を対象に質問紙調査及び聞き取り調査を行いたい。また、これまでの研究成果をまとめ、特別支援教育に関連する学会等で発表すると共に、学会誌へも投稿する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
「該当なし」
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