研究課題/領域番号 |
23531298
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
立入 哉 愛媛大学, 教育学部, 教授 (90294777)
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研究分担者 |
花熊 暁 愛媛大学, 教育学部, 教授 (60172946)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | APD / 聴覚情報処理障害 / ギャップ検出能 / GAP / 雑音下の語音聴取 / 両耳分離聴 / ダイコティックリスニング / dichotic listening |
研究概要 |
1.GAP検出用おスクリーニング検査の開発 GAP検出能については,一定の標準値を求めることができた。このことで,GAP検出能に関するスクリーニング検査の妥当性について集約でき,日本聴覚医学会にて口頭発表を行った。その発表の際の質疑応答において,GAP検出能のみでAPDのスクリーニングが可能かとの疑問や,他のAPDに関する発表から,再度,他のAPDを疑うことに至る聴覚情報処理に関係する聴能的検査の要因・要素からGAP検出能との関連性を再点検する要を感じた。2.最小のGAP検出能検査 以上の結果から,APDの最小のスクリーニング検査について,調査し,アメリカで用いられているSCAN-3をモデルに新たにスピーチノイズを使用したGAP検出用検査音源を作成した。元音源がノイズであるため短いGAPのエンベロープの処理に時間が掛かったが,完成させることができ,聴覚正常者に対し標準値を求める検査を行った。この結果,複数回にわたって,同一音源で同じ検査を繰り返しても,GAP検出能には大きな差が生じないことが判明した。ゆえにスクリーニング検査では,抽出したGAPについてのみ検査を行えば,スクリーニング検査としては十分であることが明らかになった。3.スクリーニング検査としての集大成 以上の結果から,スクリーニング検査のGAP検出能検査はごく短い時間で行うこと,さらに雑音下での語音聴取,さらに両耳分離聴を加えた3要素のスクリーニング検査を開発中である。これらをWEB上で運用できるようにし,実際に被験者を用いて検査を行っている。現在,それらの結果を集積中であり,近く因子分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現在,GAP検出能だけではなく,APDに関する総合的スクリーニング検査としての集大成という作業まで進んでいる。現在,10刺激以下で行うGAP検出能検査と,さらに雑音下での語音聴取,さらに両耳分離聴を加えた3要素のスクリーニング検査を開発中である。これらをWEB上で運用できるようにするところまで至っており,当初の計画より早めに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
新たに開発した,1)GAP検出能検査,2)雑音下での語音聴取,3)両耳分離聴を加えた3要素のスクリーニング検査を開発したため,今後,これらを実際に用いて,その問題点を明らかにし,修正を試みたい。現在,実験に協力していただける被験者を集めている最中であり,様々な被験者への適用を行いたい。また,韓国のAPD研究者からコンタクトがあり,韓国でも同じニーズがあることがわかった。言語的な特徴は似ているので,なにかしらの協力関係が築けないか,国際共同研究に発展できないか模索したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在,実験に協力していただける被験者を集めている最中であり,これら様々な被験者への謝金,さらに,それらの結果を受けて,修正を行う必要があると思われるが,特に録音した音声のクオリティについて,アナウンサーなどの職業話者の協力が必要になるのではないかとも予想している。また,韓国のAPD研究者からコンタクトがあり,韓国にも同じニーズがあることがわかったので,国際共同研究に発展できないか韓国で,今回の研究結果を報告するという機会も設けたい。
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