1.集団によるGap Detection Task(GDT)の検討(1):集団を対象にしたGDTを作成した.教室で行う場合を想定し、場所による違いに有意差が見られず,場所による違いは結果に影響しないことが分かった.小学校第2学年はSDの値に大きなばらつきがみられ,大学生になるにつれてSDの値の幅が狭くなっていた.小学校第2学年,第6学年,大学生の有意差を求めると,小学校第2学年と第6学年に有意差がみられた.その他の結果では有意差はみられなかった(p<.01). 2.集団によるGDTの検討(2):上記の研究では、小学校第2学年と第6学年に差があることがわかったが、この差が検査の回答法の困難さが要因なのか、年齢によってGAP検出閾値が異なるのかが不明であったため、容易な回答法を作成し、被験者に小1児童を追加して実験を行った.回答にあたっては,「2つの音として聞こえるか,1つの音として聞こえるか」ではなく,「音が切れたときは,新幹線がトンネルに入っている」と教示し,練習課題を用い「新幹線がトンネルを通ったか,トンネルがなかったか」を答える回答用紙を作成した.分析にあたって,スピーカと被検児との距離と閾値との関連についても検討した.この結果を検討したところ、小6の成績は閾値,SD とも成人と同じであり,小2と小6の閾値には差が見られた.また小1と小2には差が見られなかった.これらにより、GAP検出能は年齢と共に向上し、1遅くとも小5までには成人と同じ値に達することがわかった. 3.GDTのAPD検出への応用:聴覚情報処理のうち,Gap Detection/ノイズ下聴取/左右分離聴を簡便に検査するための音源を作成し、APDが疑われる成人に適用した.これにより、APDスクリーニング検査を用いることでAPDの症状を把握できた.APD症状を示す1成人にはFM補聴による支援が有効であった.
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