活動着手の困難を伴う特別支援学校に在籍する知的障害を伴う自閉症スペクトラム障害児に対しWindows上で動作する時間管理支援ツール-RAINMAN Toolkit Ver. 4 (以下,RANIMAN4)を適用した。その結果,自発的な活動への着手の増加が観察された。また,担任教師の子どもに対する肯定的・共感的ことばかけが増大した。さらに,本人の活動を視覚的に振り返る活動を通して,自らの経験を他者に伝えることに喜びを感じていると思われる他者に対する自発的な働きかけややりとりも観察されるようになった。 特別支援学級の生徒が交流及び共同の学習を行っている通常の学級において,子どもたち自身が自らの学習や活動に対し目標を設定して取り組み,その目標を達成できたかどうかを振り返ることを通して,子どもたちの学習や活動に対する主体性が向上するかどうかを実践的に検証した。その際,時間割をはじめとする活動の時間的管理を子どもたち自身が主体的かつ効果的に行えることを支援するためにRAINMAN 4を適用した。その結果,子どもたち自身が自ら時間を意識した行動がとれるようになったことが観察された。また,RAINMAN 4やパソコンの操作を他児の協力を得ながら自信を持って操作できるようになるなど,自発的な助け合い行動も観察された。そして,子どもたち自身が自らの行動や目標達成を振り返って評価するためのシートの工夫・改善を行うようになった。子どもたちにアンケートを実施したところセルフエスティームの改善・向上を示唆する回答が多数見られた。また,担任教師からも子どもたちが主体的かつ自立的に学習や行動ができるようになったという評価を得ることができた。さらに,特別支援学級に在籍している子どもの保護者の子ども理解が改善・向上したことを示唆する回答を得ることもできた。
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