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2012 年度 実施状況報告書

発達障害者の方がむしろ優れている職務開発のためのエビデンス研究

研究課題

研究課題/領域番号 23531306
研究機関白鴎大学

研究代表者

仁平 義明  白鴎大学, 教育学部, 教授 (10007833)

キーワード発達障害 / 注意欠陥/多動性障害 / モーゼ錯覚課題 / エラー / 急速反復書字 / スリップ
研究概要

前年度のような認知課題での発達障害者のパフォーマンスとの比較を行うために,行為の実行をともなう実行課題について分析を行った.急速反復書字という課題でのパフォーマンスの分析である.行為自体が速い速度で実行を要求する課題で,意図しない行為を遂行してしまうエラー「スリップ」が頻発する課題である.しかし,認知課題とは異なり,ADHD傾向とエラーとの間には有意な相関はみられなかったが,女性についてのみADHD傾向とエラーには低い正の相関がみとめられた.女性のこの傾向は,ADHDの構成因子のうち,社会的に問題になるような「抑制メカニズムの障害因子」との間の相関ではなく,「多動と注意のコントロール因子」との間の相関であった.発達障害のように性差が著しい障害では,障害で起こる課題の有利・不利は性別に分析を行うことが示唆された.
本年度は,さらに地域の新聞社が「科学ジャーナリスト大賞」を受賞した発達障害に関する連載をまとめたものの出版にあたって,これまで研究してきた「発達障害について説明する」ことに関する論を分担執筆した.発達障害者の職業についてはとくに,いかに研究成果を社会一般に「説明する」かを考慮することが重要かがあらためて確認された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度に確認を行った注意欠陥/多動性障害傾向がむしろプラスに働くことがある「モーゼ錯覚」のようなエラー発見の認知的課題から,さらに進んで急速反復書字という実行課題について分析が行われた.実行課題では,障害傾向とエラーの遂行には認知仮題とは異なる連関があることが示された.
しかし,校正作業を発達障害者が職業として行うための条件を明らかにする段階まで,まだいくつかのステップが必要とされる.

今後の研究の推進方策

発達障害者に有利な課題には,やはり可能性がある課題について分析を行う場合,多数の候補課題を試してその中から発達障害者に有利な課題を選抜する必要がある.さらに,これまで確認してきたように,発達障害でも障害は単一の特性だけからなるものではなく,複数の因子的特性から構成される.その特性のすべてが有利あるいは不利に働く課題があるのではなく,特定の因子が有利に働く課題があると考えられる.注意欠陥/多動性障害については,アナログ研究によって課題と因子との関係がある程度判明したので,次年度は自閉症スペクトラム障害者の研究に力点を移す.
それでも,さらに候補となりそうな課題について探索は継続する.

次年度の研究費の使用計画

上記の研究を推進するために研究費を使用するとともに,とくに以下のために使用予定である.
(1)前年度に開催できなかった「発達障害者に有利な課題」に関するシンポジウムを,関連研究者とともに福島市で開催するために経費を使用する予定である.
(2)また,成果の英文論文作成を積極的に行う経費を使用する.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 急速反復書字によるスリップの発生メカニズム:ADHD傾向のアナログ研究2013

    • 著者名/発表者名
      仁平義明
    • 雑誌名

      白鴎大学教育学部論集

      巻: 7 ページ: 127-141

  • [学会発表] ADHD傾向と書字のスリップとの関連

    • 著者名/発表者名
      仁平義明
    • 学会等名
      東北ADHD研究会第2回研究会
    • 発表場所
      福島大学
  • [図書] ルポ・発達障害―あなたの隣に(「障害を理解する」の章を分担執筆)2012

    • 著者名/発表者名
      仁平義明
    • 総ページ数
      195ページ
    • 出版者
      下野新聞社

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公開日: 2014-07-24  

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