平成26年度は、特別支援学校の小学部教員を対象として、応用行動分析学に基づいた行動コンサルテーションを実施し、その効果を検討した。 研究参加者として、特別支援学校小学部教員(1学年~6学年)20名程度を対象とした。平成26年5月~平成27年3月の間に、応用行動分析学を専門とする2名の専門家がのべ24回訪問し、各学年の教員に対して、特に対応の難しい障害児の行動問題改善についてのコンサルテーションを行った。1回のコンサルテーションの流れは、①午前中2時間程度、専門家が対象児童の授業中の様子をビデオ撮影しながら行動観察を行い、②午後に90分程度、専門家が撮影した動画を教員に見せながら、対象児童の問題となっている行動を分析した後、専門家と教員が協働で今後の対処について検討するというものであった。コンサルテーションは各学年に対して4回ずつ実施された。 そうしたコンサルテーションの結果、対象児童および担当教員の行動に変化が見られた。また、教員の問題行動に関する分析観点にも変化が見られた。この一連のコンサルテーション活動に対する教員の満足度は非常に高いものであった。 特別支援学校において深刻な問題行動のある児童への対応は、学校教員の試行錯誤だけでは困難な場合があり、そうした場合には専門家によるコンサルテーションが有効であることがわかった。特に、撮影した動画を用いてのビデオフィードバックに基づいた実践的な助言と教員との双方向的な話し合いが、効果的かつ満足度の高い方法であることが明らかとなった。
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