研究課題/領域番号 |
23531312
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
本田 恵子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50317674)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アンガーマネージメント / ボーダーライン知能 / 暴力リスク尺度 / 中学生プログラム |
研究概要 |
23年度は、次の3点を実施した。1)少年矯正向けの暴力危険度の測定尺度(VRICS-J)の作成、2)少年矯正向けプログラムの実践、3)中学生向けプログラムの実践である。1)少年矯正向けの暴力リスク尺度は、80名のデータが収集され分析された。結果として、成人矯正群に比べて暴力性向が高くでやすいこと、衝動性には「支配欲」と「イライラ」の相関が高いことが明確になり、プログラム初期にストレスマネージメントを加えることの重要性および、認知変容段階における「男らしさ」や「対人関係」の調整が重要であることが明確になった。また、22年度の実施者と比較して、複合的な犯罪性向がある場合には、家族理解プログラムを別に作成する必要性が確認された。これは、生育歴が複雑な場合が多く、15回のプログラムで扱うと焦点がずれて効果に影響がでることが明らかになったためである。また、知的レベルは22年度ど同様でも、複合的な場合には、具体的場面においての認知変容を実施する方が効果が高いことが明確になった。3)中学生プログラムは、ストレスをため込む傾向が強いことを考慮して暴力リスク尺度を矯正施設向けと変容した。予備調査として中学校1校で尺度を実施し、項目の精査を行っている。また、3年生に短縮したプログラムを4回実施し内容を検討した。 24年度は、東京、奈良2校において中1から中3まで各5クラスづつプログラムを実施し、比較検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度予定は、1)暴力リスクを測る尺度の開発、2)包括的アンガーマネージメントプログラムの開発、(1)矯正施設用、(2)中学生プログラム実施のためのインタビュー、3)プログラムに使用する教材の開発、4)モデルプログラムの実施と効果測定であった。おおむね順調に進んでおり、中学生プログラムの実施が半年早まって、23年1月から2月にかけて実施された。これは、24年度から実施予定の中学校でモデルプランとして実際にやってもらいたいという要望が出たためである。
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今後の研究の推進方策 |
1)暴力リスク尺度の作成:矯正施設用はデータが100になるまで集めた上で分析に入る。中学生用は、4月から実施する2校にて全学生からデータ収集を行う他、他の都道府県からも希望を募って(現在4校あり)データ収集を行い、標準化への手続きを開始する。2)モデルプログラム:中学校2校で4月~10月にかけて実施する。3)教材開発は、7月を目標に作成中である。モデルプログラムを実施しながら、ワークシートの形式を整えたり、場面カードを増やす作業を行う。4)予防教育のプログラム実践と効果測定:24年3月に3日間の指導者養成を実施した。実践希望校を募った後、プログラム実践と効果測定を実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は、物品費350,000円として尺度の標準化のための分析ソフト購入を予定している。旅費420,000円は、奈良県及び都内での実践のための交通費、学会発表(9月矯正教育学会、10月LD学会)の交通費である。人件費・謝金200,000円は、データ入力および教材のイラスト、ワークシート作成の謝金に充てる。その他の130,000円は、プログラム実施時に必要とされる教材、文具、郵送費、データ記録器具等に充てる。
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