平成25年度に実施した内容は以下の3点である。1.VRICS(暴力危険度チェックリスト)改訂版の作成、2.アンガーマネージメントの包括的プログラムの開発(1)中学生用のプログラムと教材の開発、3.モデルプログラムの実践と効果測定である。 1.暴力危険度チェックリスト: 平成22~23年度に保護観察対象者141名に実施したプログラムを元に事前事後で効果測定用として活用した。事前の測定得点を危険度高い、中、安定、安定度高いに分類し、アンガーマネージメントプログラムを実践後の効果測定を実施した。結果は、「危険度中」の人への効果が高いことがあきらかになった。また、「危険度高い」人の中では、特性要因の「支配」状態要因の「イライラ」において有意な効果が表れ、自己コントロール観が増し、暴力、暴言の回数は減少している。報告は、現在「教育心理学」に投稿予定である。項目間の調整をし、項目の改訂を行ったため、平成24年度に改訂版を作成し平成25年度に妥当性確認を行った。 2.プログラム・教材開発: 中学生用のプログラムは、1年生用から3年生用まで作成。教材もそれに合わせて予防教育用といじめや暴力を繰り返す児童・生徒用の個別プログラム作成した。 3.モデルプログラムの実践と効果測定: モデルプログラムは、奈良教育委員会および東京都の公立中学校と連携して小学校5,6年生、および中学校1年から3年で実施した。傾向は2つに分かれている。事前状態で衝動性が高く、行動化しやすい児童・生徒は、衝動性、行動化が減少した一方、気持ちを表現せず抑圧しているタイプは、自己表現をするようになっている。そのため、小学生も中学生も啓発教育はクラス全体で実施し、個別指導が必要な児童生徒は小グル―プの指導が効果的であることが明らかになった。 4.プログラム・教材開発は、平成26年度に現場に普及するためのワークショップを実施している。
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